| アルザス学院に学ぶが、放校となり、しばらく神経を病む。 |
| 復学後、ピエール・ルイスと出会い、アンリ四世校の哲学学級に進学。 |
| ポール・ヴァレリーらとも親交を結び、やがてステファヌ・マラルメの「火曜会」に出入りするようになる。 |
| 1890年に『アンドレ・ヴァルテールの手記』を出版。 |
| マラルメから絶賛され、その後も象徴主義の影響が色濃い作品を発表する。 |
| 1893年、北アフリカ(アルジェリア、チュニジア)を旅行。 |
| 以後たびたび同地へ赴き、オスカー・ワイルドと邂逅、娼婦との交流や同性愛を経験する。 |
| この一連の体験が文学者としての転機となった。 |
| 1895年、『パリュード』を発表。 |
| これが象徴主義との実質的な決別となる。 |
| 1898年、『地の糧』を発表。 |
| 1902年の『背徳者』においては、“生”の価値と快楽に目覚め、既成道徳から背をそむけてゆく男の悲劇を描く。 |
| この時期の作品はナチュリスムと呼ばれる流れに位置づけられた。 |
| 1909年、『狭き門』を発表、過剰な神秘主義に陥るヒロインの愛と悲劇を描く。 |
| 1913年の『法王庁の抜け穴』では、ローマ法王やフリーメーソンを皮肉ったストーリー設定の下、動機のない殺人(「無償の行為」)を遂行するラフカディオという主人公を登場させた。 |
| なお、ジッドは『背徳者』、『狭き門』、『田園交響楽』(1919年)などの一人称語り手による単線的な筋の作品を「レシ(物語)」、『パリュード』、『鎖を外されかけたプロメテ』(1899)、『法王庁の抜け穴』などの批判的・諧謔的な作品を「ソチ(茶番劇)」と分類して、「ロマン(小説)」と区別している。 |
| 1925年、『贋金づくり』(『贋金づかい』とも訳される)を発表。 |
| これはジッドが唯一「ロマン」として認めた代表作であり、ドストエフスキーやイギリス小説(フィールディング、ディケンズ、スティーブンソンなど)から学んだ手法をとりまぜた作品である。 |
| 作中にエドゥワールという小説家が登場し、作品と同名の小説(「贋金づくり」)を書くという設定になっており、いわゆる「小説の小説」になっている。 |
| このようなメタ的な手法(「中心紋」)は後のヌーヴォー・ロマンの作家たちに多大な影響を与えたと言われる。 |
| 作品には、生涯の妻であった従姉・マドレーヌの影響が強く、『背徳者』、『狭き門』などに彼女の影を持った女性キャラクターが登場している。 |
| しかしながら、マドレーヌのことを愛しながら性交渉をもたず(「白い結婚」)、マルク・アレグレとの同性愛関係により結婚生活は破綻をきたしていたと言われる。 |
| このアレグレとの関係は、自伝的な特色がある『日記』に詳しく書かれている。 |
| また、彼にはエリザベート・ヴァン・リセルベルグという愛人も存在しており、一女をもうけている。 |
| 1920代後半から1930年代にかけては、知識人としてのアンガージュマン(社会参加)が目立つようになる。 |
| 仏領アフリカ(コンゴ、チャド)の視察ののち発表した『コンゴ紀行』(1927年)では、フランスの植民地支配のあり方について疑義を唱え、当時の社会に波紋を呼び起こした。 |
| また、『コリドン』(1924年)では男色を擁護し、つづく自伝の『一粒の麦もし死なずば』(1926年)で自らの同性愛的性向をカミング・アウトした。 |
| 1930年代に入ってからは、ソヴィエトへの共感を口にし始め、1936年の同国訪問(『ソヴィエト紀行』)を機に共産主義へ転向。 |
| しかし翌年、『ソヴィエト紀行修正』でスターリン体制を批判し、左派から猛バッシングを受ける。 |
| その後は反ナチ・反ファシズムを貫き、第二次大戦前には反戦・反ファシズム世界青年会議名誉議長を務めた。 |
| 1938年、マドレーヌが亡くなると深い孤独感に陥り、『今や彼女は汝の中にあり』を書く。 |
| 1945年にゲーテ勲章授与。 |
| 1947年にオックスフォード大学から名誉博士号、さらにノーベル文学賞受賞。 |
| 1951年パリで没。 |
| その著作は死後、ローマ教皇庁により、禁書に認定された。 |
| 文壇誌新フランス評論(NRF)創刊者の一人。 |
| 『日記』は半世紀以上書かれ、フランス日記文学を代表する作品である。 |
| 日本では、和気津次郎による紹介を皮きりに、堀口大學、山内義雄などの手によって知られるようになった。 |
| 小説家・石川淳による批評文もあり、石川はジッドの小説を翻訳してもいる。 |
| また、ジッドの著作は当時の文人たちに多大な影響を与えた。 |
| 例えば横光利一の純粋小説論はジッドの『贋金つくり』が影響していると言われている。 |
| 近年刊行の伝記にクロード・マルタン 『アンドレ・ジッド』(吉井亮雄訳、九州大学出版会 2003年)。 |