| 本作は、精神に異常をきたした医者・カリガリ博士と、その忠実な僕である夢遊病患者・チェザーレ、およびその二人が引き起こした、ドイツ山間部の架空の村での連続殺人についての物語である。 |
| 本作は、登場人物の一人であるフランシスの回想を軸にストーリーが展開する。 |
| 初期の映画では直線的なストーリー進行が大半を占めたが、本作品は、その中でも複雑な話法が採用された一例でもある。 |
| 冒頭では、二人の男が会話を交わしている様子と、その横を茫然自失のようであてどもなく歩く、美しく若い女性が描かれる。 |
| 若い方の男は、その女性が自分のフィアンセであること、そして二人が体験した、世にも奇妙な体験の回想を連れの男に語り始め、これより回想シーンが続く。 |
| 冒頭の男(フランシス)は、友人のアランと、村にやって来たカーニバルを見に出かけた。 |
| 彼らはカリガリ博士と、博士の見世物である眠り男チェザーレの似顔絵に目をとめた。 |
| 博士は、チェザーレが23年間箱(cabinet)の中で眠り続けていること、また、尋ねられればどんな質問にも答えられると口上し、客を呼び込んでいた。 |
| 二人は博士の小屋に入り、見世物が始まった。 |
| 箱から出てきたチェザーレに、アランが悪戯心で自分の寿命を尋ねたところ、チェザーレの答えは「明日の夜明け」だった。 |
| 翌朝、フランシスは村人から、アランが何者かに殺されたことを知らされた。 |
| その他にも、村では以前一人の役場の職員が殺されており、この職員はカリガリ博士が役場を訪れた際、邪険に博士を扱った人物でもあった。 |
| 疑念を抱いたフランシスは、彼が思いを寄せるジェーンとその父親と一緒に、カリガリ博士とチェザーレの身辺を調査し始めた。 |
| 危険を察知した博士は、チェザーレにジェーンを殺害することを命じ、同時に周囲を欺くためにチェザーレの替え玉人形を用意した。 |
| チェザーレはジェーンの部屋へ侵入しナイフをふりかざすが、ジェーンの美貌に心を奪われる。 |
| 眠り男は殺すのをためらったままジェーンを抱きかかえ、彼女の家から連れ去るが、その後を村人たちが追っていた。 |
| 追跡のさなか、チェザーレは心臓発作により命を落としてしまう。 |
| 一方、フランシスは警官たちとともにカリガリ博士の見世物小屋を訪ね、チェザーレとの面会を強要した。 |
| しかし、眠り男が眠っているはずの箱の中にあったのは、博士が用意していた替え玉の人形だった。 |
| 逃亡した博士は村の中の精神病院へ逃げ込んだ。 |
| フランシスがその病院で「カリガリという名の患者」の所在を尋ねたところ、病院の職員に案内されたのは、院長室だった。 |
| その中にいたのは、まぎれもないカリガリ博士であった。 |
| フランシスは、博士が別宅で寝ているのを見計い、病院の職員たちの助けを借りて、深夜に院長室に侵入する。 |
| 部屋の中を探索したフランシスたちは、夢遊病者を使った殺人を犯した見世物師について描かれた古い本を発見した。 |
| その見世物師の名前はカリガリ。 |
| 驚愕した一行はさらに、カリガリ博士の日記を発見し、博士が本の記述を再現することに心を奪われていることを知った(次節、図4および5)。 |
| 翌日、病院に運び込まれたチェザーレの死体と対面したカリガリ博士は、悲しみのあまり取り乱した。 |
| 博士は、その場で病院の職員たちに取り押さえられ、拘束衣を着せられて独房へ収容された。 |
| その後の映画にも多大な影響を与えた、どんでん返しの結末では、フランシスの回想は実は彼の妄想であることが明らかにされる。 |
| 現実ではカリガリ博士はフランシスが入院している精神病院の院長で、妄想を語りながら拘束衣を着せられ取り乱すフランシスを見て、自分ならフランシスを治療することが可能だと主張するのだった。 |