| 以前は強豪だったサンズもジェイソン・キッドの移籍で2003-04シーズンは29勝53敗まで成績が落ち込んでいた。 |
| ナッシュはその間のエースを務めたステフォン・マーブリーと入れ替わる形でサンズに帰ってきたが、他には目立った補強はなく、2004-05シーズンも厳しいシーズンになることが予想された。 |
| 160px|thumb|right|チームメイトにサインを送るナッシュ。 |
| ところがナッシュのサンズ復帰は予想以上の効果をもたらした。 |
| 前年からサンズの指揮を執り始めたマイク・ダントーニはアップテンポなバスケスタイルを標榜しており、スモールラインアップを敷いて機動力を重視し、アウトサイドシュートを中心としたラン&ガンオフェンスの構築を求めていた。 |
| このダントーニの理想に、ナッシュの能力が尽くフィットしたのである。 |
| ナッシュはマーベリックス時代もドン・ネルソンが得意とするラン&ガンオフェンスの司令塔を務めていたため、ラン&ガンを展開するのはお手の物であり、さらにナッシュはリーグ屈指のアウトサイドシューターだった。 |
| ナッシュは若く身体能力に溢れ、フィニッシュ能力にも優れたチームメイト、アマレ・スタウダマイアー、ショーン・マリオン、ジョー・ジョンソンらを巧みに操り、サンズのオフェンス力を劇的に向上させた。 |
| ナッシュの居ない前年のサンズの平均得点は94.2点だったが、ナッシュ一人が加わったこのシーズンのサンズは110.4点。 |
| 僅か1年で16点以上も向上したのである。 |
| ナッシュの移籍はリーグ全体にも影響を及ぼした。 |
| 当時のNBAはディフェンシブなチーム作りが主流となっており、前年のリーグ全体の平均得点は93.4点だったが、このナッシュのサンズ移籍一つでリーグ全体の平均得点は97.2点に跳ね上がった。 |
| サンズの平均110.4得点はリーグでも断トツの1位で、2位のサクラメント・キングス(103.7点)とは約7点もの差をつけており、この数字がいかに衝撃的なものだったかを物語っている。 |
| ダントーニ指揮下でのプレイはナッシュの能力の全てを引き出し、ナッシュ個人の成績も15.5得点11.5アシスト、FG成功率50.2%、3P成功率43.1%と大幅に向上した。 |
| 特に11.5アシストは2位以下を大きく引き離すリーグ1位となり、初のアシスト王に輝き、さらにオールNBAチームでは初の1stチーム入りを果たしている。 |
| リーグ1のオフェンス力とリーグ最高峰の司令塔に率いられたサンズは快進撃を続け、リーグ首位となる62勝20敗を記録。 |
| 前年の29勝から33勝分を積み上げ、一躍エリートチームの仲間入りを果たした。 |
| このシーズンはナッシュと同様にシャキール・オニールが移籍先のマイアミ・ヒートの勝率を大きく向上させており、MVP投票ではナッシュとオニールの一騎打ちとなった。 |
| 個人成績ではオニールが上だったが、より世間にインパクトを与えたナッシュが見事にMVPに輝いた。 |
| ナッシュのMVP受賞はカナダ人選手初の快挙であり、外国生まれの選手としてはアキーム・オラジュワンについで2人目、さらにポイントガードとしてはボブ・クージー、マジック・ジョンソンに続く史上3人目の快挙であった。 |
| さらにダントーニも最優秀コーチに選ばれており、このシーズンのNBAは正にサンズ一色となった。 |
| プレーオフでは1回戦でパウ・ガソルのメンフィス・グリズリーズをスイープで降すと、カンファレンス準決勝で古巣のマーベリックスと対決。 |
| 勝敗を決した第6戦では試合終盤に16点差を引っ繰り返す活躍を見せ、あわやトリプル・ダブルとなる39点12アシスト9リバウンドをあげてチームを勝利に導いた。 |
| ここまで順調に勝ち上がり、ナッシュにとってもサンズにとっても初の優勝が見えてきたが、カンファレンス決勝でスパーズが立ちはだかる。 |
| サンズは得点力を上げるかわりにディフェンスを犠牲にしており、平均失点はリーグ最下位の103.3点だったが、試合巧者のスパーズがサンズの脆いディフェンスを突き崩し、サンズはこのシリーズで平均109.2失点を喫し、1勝4敗の完敗を喫した。 |
| チームはより充実さを増し、スタウダマイアーも復帰したことで、2006-07シーズンはファイナル制覇最大のチャンスと言われた。 |
| サンズは期待通りの快進撃を続け、ナッシュはさらに個人成績を向上させ、18.6得点11.6アシストのアベレージを残し、3P成功率ではリーグ2位となる47.0%を記録。 |
| MVPは元チームメイトであり友人でもあるマーベリックスのダーク・ノビツキーに譲ったものの、リーグ1位の勝率だったマーベリックスがプレイオフ1回戦で敗れたことにより、勝率2位だったサンズの優勝の可能性が一気に高まった。 |
| 第1戦では、スパーズのトニー・パーカーとの接触で鼻から出血、ナッシュは止血が追いつかず、試合終盤の大事な場面にコートに立つことを許されず、結果サンズは大事な初戦を落とした。 |
| 第2戦ではスタウダマイアーがブルース・ボウエンのプレーに対し、「スパーズはダーティなチーム」と発言したことでシリーズは大荒れの兆候を見せると、第4戦ではナッシュはロバート・オーリーに体当たりに近いファウルを受ける。 |
| 本人達に乱闘に参加する意思があったかは定かではないが、この行為が乱闘を助長する行為として、規定により1試合の出場停止処分を受ける羽目となる。 |
| インサイドの主力選手2名を欠いたサンズは第5戦を落とし、そのまま連敗してシリーズ敗退となり、ナッシュのチャンピオンリング獲得の夢は打ち砕かれた。 |
| 2007-08シーズンにはナッシュの相棒的存在だったショーン・マリオンを放出して大物センター、シャキール・オニールを獲得するが、期待されたほどの効果はなく、プレーオフでは1回戦でまたもやスパーズに完敗を喫する。 |
| そしてオフにはチームの大改革が始まり、マイク・ダントーニはついにヘッドコーチを解任され、新たにテリー・ポーターが就任。 |
| シーズン中にもナッシュと苦楽を共にしたラジャ・ベル、ボリス・ディアウらが放出され、チームの姿は変貌していくが、急激な舵取りはチームに混乱をもたらし、46勝36敗に終わったサンズはプレーオフ進出すら逃した。 |
| ダントーニ体制下では思う存分能力を発揮したナッシュもコーチの交代と戦術の大幅な変更で若干成績を落とし、このシーズンは15.7得点9.7アシストに終わるが、サンズでの優勝を目指すため、オフには契約の2年延長を決めた。 |