| リチャード・ラミレスが犯した最初の殺人は、彼がロサンゼルス郡刑務所を釈放されて間もない1984年6月28日に起こった。 |
| ラミレスはロサンゼルス市イーグル・ロック地区のアパートの一室へ押し入り、そこの住人である79歳の女性をレイプした上、めった切りにして殺害したのである。 |
| 遺体は激しく傷つけられており、首が皮一枚でつながっているようなありさまだった。 |
| また、窓と網戸からは犯人のものと思われる指紋が検出されていたが、この時はラミレスに結び付かなかった。 |
| 第2の犯行はそれから9ヶ月後の1985年3月17日深夜、ロサンゼルス近郊のローズミードのアパートを物色していたラミレスは、ガレージに車を入れて自分の部屋に戻ろうとした女性を拳銃で撃ち倒した(弾丸は車のキーに当たり、彼女は奇跡的に助かった)あと、彼女の部屋へ押し入り、キッチンでルームメイトである34歳の女性会社員の頭部を撃ち抜いた。 |
| その後、射殺したはずの女性と出くわしたラミレスは、命乞いする彼女を無視して立ち去った。 |
| この事件では生存者にはっきりと顔を目撃されているだけでなく、ラミレスがかぶっていたロックバンド、AC/DCのロゴ入り野球帽が発見されている。 |
| ラミレスはローズミードでの凶行から1時間もしないうちに、第3の殺人を犯している。 |
| ノース・アルハンブラ・アヴェニューで次の獲物を漁っていた彼は、台湾出身のロー・スクールの学生(30歳)が運転するシヴォレーを止めさせ、彼女を引きずり出すと数発打ち込んだのだった。 |
| 救急車が呼ばれたものの、到着を待たずして大学院生は息を引き取っている。 |
| 3月17日の凶行から10日後の3月27日、ロサンゼルス郊外のサン・ゲイブリエル・ヴァレーの中流住宅街でイタリアン・レストランのオーナーの64歳の男性と、その妻で44歳の女性弁護士が惨殺されているのを帰宅した息子が発見する。 |
| 直接の死因は射殺で、夫は書斎のソファで、妻は全裸で寝室のベッドでそれぞれ絶命していたが、とりわけ妻の遺体の損壊が激しく、生きたまま両目をえぐられていた。 |
| ここでも数多くの手がかりを残しており、これらの証拠から、捜査に当たったロサンゼルス郡保安官事務所は、新たな連続殺人犯が出現したのではないかと危惧し始めた。 |
| ただし、この時点では、3月17日の双方の犯行を最初の事件とみなしていたため、1984年の老婦人殺害を一連の連続殺人と関連付けるまでにはもう少しの時間が必要であった。 |
| また、マスコミはこの連続殺人者に「峡谷の侵入者(TheValleyIntruder)」という異名を与えた。 |
| 第4事件から約2ヶ月後の5月14日、ラミレスは女性大学院生が襲撃された現場から程近いモンテレー・パークの近くに住む老夫婦宅を襲撃。 |
| 66歳の日系アメリカ人男性を射殺したあと、現金や宝石類を奪ったうえ、63歳の妻をレイプして逃走した。 |
| それから2週間後の5月30日には、バーバンクの民家を襲撃。 |
| 12歳の息子をクローゼットに閉じ込めた上で、母親をレイプし、金品を奪って立ち去ったが、ここでもラミレスは警察を嘲笑うかのように素顔をさらして犯行に及んでいる。 |
| モンロビア在住の83歳の元女性教師と80歳の妹がラミレスの襲撃を受け、2日後の6月1日に瀕死の状態で発見される。 |
| 妹の方は一命を取りとめるが、元教師は6週間後に死亡した。 |
| これまでの犯行と同様に、家のなかは荒らされ、ここでもラミレスは凶器のハンマーなど大量の証拠を残しているが、そのなかでもとりわけ刑事たちに衝撃を与えたのは、元教師の太腿に口紅で悪魔のシンボルである逆五芒星が描かれていたことであった。 |
| この五芒星は妹の部屋の壁にも描かれていた。 |
| モンロビア事件から1ヶ月近く経った6月27日、32歳の女性がアーケイディアの自宅で喉を掻き切られて死んでいるのが発見された。 |
| この事件を皮切りに、ラミレスの狂乱ぶりはピークに達して行く。 |
| 既にこの頃になると、『ロサンゼルス・ヘラルド・イグザミナー』紙の記者がこの連続殺人犯に「ナイト・ストーカー(NightStalker)」という、よりインパクトのある新たな異名を与えた。 |
| 7月2日には、同じアーケイディアで75歳の老婦人が同様に喉を掻き切られて殺害されているのが発見される。 |
| 7月5日、やはりアーケイディア在住の16歳の少女がナイト・ストーカーの襲撃に遭い、バールで殴られた上レイプされたが、生命だけはとりとめている。 |
| 二日後、61歳の女性がモンテレー・パークの自宅で撲殺されているのが発見された。 |
| さらに同じ夜、近所に住む63歳の看護婦が自宅で襲われ、レイプされた後金品を奪われた。 |
| 2週間後の7月20日、この日の夜、ラミレスはそれまでにも増して異常な狂乱振りを発揮している。 |
| 一晩のうちに、グレンデール在住のガソリンスタンド経営者夫婦を射殺。 |
| その後サン・ヴァレー在住の32歳のアジア人男性宅を襲撃、男性を射殺、29歳の妻に悲鳴をあげないよう悪魔に誓わせた上でレイプした。 |
| さらに8歳の息子もレイプし、3万ドルの現金と宝石類を奪って逃走。 |
| 8月8日には、サン・ゲイブリエル・ヴァレー在住のアジア人男性宅へ押し入り、男性(35歳)を殺害、妻は殴り付け、悪魔に忠誠を誓わせた上でレイプしている。 |
| 8月17日には、ラミレスはサンフランシスコにまで足を伸ばし、会計士の中国系アメリカ人男性(66歳)を射殺、妻にも発砲したが、彼女は生き延びた。 |
| その後、口紅で壁に逆五芒星と「JacktheKnife(匕首ジャック)」という言葉を書き残している。 |
| 最後の犯行は、8月24日にロサンゼルス南方のミッション・ヴィエホ在住のコンピュータ技師と婚約者の自宅でおこなわれた。 |
| いつものように男性の頭を撃った後、女性をレイプしたラミレスは、婚約者に悪魔への忠誠を誓わせる儀式を強要させ、立ち去った。 |
| 男性は頭部に3発撃ち込まれたものの奇跡的に一命を取りとめた。 |