| 説話の数は優に200を超えるが、その中でも代表的なものを採り上げた。 |
| 他地域のとんち者のエピソードと内容が重なるものも多い。 |
| また、子供向けには適さない色話も存在する。 |
| ;柿の見張り番。 |
| 代表的な説話の一つで、吉四六が子供の頃のエピソードである。 |
| ある日、吉四六の家の柿がたわわに実った。 |
| 親は盗まれないように、吉四六に柿の木を見ているように言った。 |
| しかし、自分自身も食べたくてしょうがない。 |
| おまけに村の友人がやってきて、柿を食べようと吉四六をけしかける。 |
| そこで、吉四六は頓智を働かせ、友人と一緒に全部柿を平らげてしまった。 |
| 畑仕事から戻ってきた親は吉四六をしかりつけるが、吉四六はこう言った。 |
| 「柿の実は友達がもいで行ってしまったけど、柿の木はずっと見ていた」と。 |
| 親は呆れて開いた口が塞がらなかった。 |
| 吉四六の家には毎日のように烏が飛んでくる。 |
| この烏を何とか売れないかと吉四六はあれこれ考えた結果、彼は一羽のキジを籠の上に止まらせて、籠の中にありったけの烏を詰めて行商に出た。 |
| 彼は売り文句に「烏はいらんかね」というが、客は籠の上に載っているキジを見て、吉四六が烏とキジの区別も付けられないで売っているのだと思いこむ。 |
| 値打ちは雲泥の差であり、欲の深い客はこのキジを烏の値段で買って大もうけを企むが、吉四六は言葉通り烏を客に渡す。 |
| 客が文句を言うが「キジは看板だから売らない。 |
| わしは烏はいらんかねといったが、キジを売るとは一言も言っていない」と言ってのけ、結局彼は烏を一羽も残らず売ってしまった。 |
| 吉四六が家内に頼まれ、甕を買いに行った。 |
| 初めは小さい甕を30文で買って家に帰ったが、小さすぎるといわれた。 |
| そこで大きい60文の甕を持って行こうとするが、店主にお金を貰っていないと言われる。 |
| しかし、吉四六は「30文払って、30文の甕を買った。 |
| その30文の甕を返したのを合わせて60文だから、お金は払う必要ない」といってそのまま帰ってしまう。 |
| 他のとんち者の説話にも登場するほか、「壺算」という題で落語にもなっており、またドラえもんにも全く同じシチュエーションが登場する(てんとう虫コミックス9巻『世の中うそだらけ』、ドラえもんのひみつ道具(きあ-きも)#ギシンアンキ参照)。 |
| 怠け者の吉四六は田の代掻きを楽に行う方法は無いかと考え、田の真ん中に高いハシゴを立てる。 |
| そして町の衆に「天に昇ってくる」と言い回る。 |
| 天昇り当日、吉四六がはしごを登りだすと、集まった町の衆は「危ない危ない」と言いながら田んぼの中で右往左往する。 |
| 吉四六もはしごの上でふらついてみせる。 |
| しばらくすると「皆がそんなに危ないというなら天昇りはやめじゃ」とはしごを降りてくる。 |
| 町の衆が右往左往してくれたおかげで田んぼはほどよく代掻きが行われていた。 |
| ;首のおかわり。 |
| 吉四六の近所には人の話を聞くのが三度の飯より好きな男が居た。 |
| しかし、その男は悪い癖があり、自分に納得できない話には「まさかそげんなこと」といちゃもんをつける。 |
| ある時、その男が吉四六に何か話はないかと尋ねてくるが、吉四六は「まさかとは言うな。 |
| 言ったら米一俵もらう」と約束をする。 |
| そこで吉四六は話を始めた。 |
| 殿様が外を歩いていると持っていた扇子に鳶の糞がぺたっと落ちた。 |
| 家来はすぐに「へい、扇子のお代わり」と言って代わりを持ってくる。 |
| それからしばらくすると、偶然にも殿様が持っていた刀にも鳶の糞が。 |
| すぐさま家来が「刀のお代わり」と言って持ってくる。 |
| この時点でも何か言いたげな男であったが、何とか堪えた。 |
| しかし、話はその後…鳶が気になった殿様が空を見上げようとすると、何と今度は殿様の首に糞を落とした。 |
| そして家来が「へい、首のお代わり!」。 |
| さすがに男は「まさかそげんなこと…」と言わざるを得なかったが、約束は約束なので男は吉四六にまるまる米一俵持って行かれたのだった。 |
| 吉四六が川でどじょうを掬っていた。 |
| しかし、そこには魚採り禁止と書かれており、それを見付けた隣村の役人が吉四六に注意をする。 |
| しかし吉四六は「このどじょうは儂がうっかり逃がしたものだ」と言う。 |
| そして、前を大きなどじょうが通ると「こいつ、今までどこに行ってた。 |
| 早くわしの所に戻ってこい」とか言い、小さなどじょうだと「こいつ、隣村から紛れ込んできたな。 |
| 結局茫然と立ち尽くす役人を後目に、適当にうまいことを言って、大きいどじょうだけを魚籠いっぱいに掬ってしまったのだった。 |
| 村の男達が囲炉裏端でどじょう鍋をしようとしていると、吉四六が入ってきて、豆腐を温めさせてくれないかという。 |
| 男達は出汁になってちょうどいいとこれを許す。 |
| 程よく煮えたところで、吉四六は豆腐を掬い上げて帰っていく。 |
| 吉四六が帰った後、男達が鍋を見ると、中はもぬけの殻。 |
| 鍋の熱さにどじょうたちが耐えかねて、吉四六の入れた豆腐の中にもぐりこんでしまったのである。 |
| まんまとどじょうを掻っ攫った吉四六だった。 |
| (どじょう豆腐参照)。 |
| 酒を持って関所を通ろうとした吉四六だが、役人が中身の検分と称してこれを飲んでしまう。 |
| 何度も酒を台無しにされ、業を煮やした吉四六は酒徳利に自分の小便を入れ、またも関所へ。 |
| 役人は「この中身は小便でございます」との吉四六の言葉を信用せず、これを口にして一言、「・・・この正直者め!」(この説話は落語のネタにもなっている)。 |
| 庄屋から鴨撃ちに誘われた吉四六は、「青首(の鴨)がたくさんいるところを知っている」として庄屋に豪勢な弁当を用意させ、翌朝二人で繰り出した。 |
| やがて吉四六は大根畑に着いて座り込むと、弁当をぱくつき始めた。 |
| 庄屋が鉄砲を手に「いったい青首(の鴨)はどこにいるのか」と尋ねると、「ほれ、そこにいっぱいいるでしょう」と答える。 |
| 庄屋が「どこにも青首なんかいないだろう」といぶかると、吉四六は澄ました顔で「青首(の大根)なら、目の前にいくらでも並んでるでしょう」と答えてみせた。 |
| 庄屋が鴨汁をご馳走してくれると言うので出かけた吉四六だが、庄屋は自分の椀にばかり鴨肉を入れさせ、吉四六の椀の具は大根ばかりだった。 |
| 後日、吉四六は「鴨撃ち」と同様に庄屋を大根畑に連れ出し、「あれこそ先日ご馳走になった鴨ですよ」とやり込めた。 |
| 庄屋に「家には生きてるようなネズミの彫り物がある」と自慢された吉四六はもっと見事な彫り物が自分の家にもあると言った。 |
| 翌日、吉四六が庄屋に見せたのは見事な彫り物どころか馬の糞と間違うような酷い物だったが吉四六は慌てず「どちらがより素晴らしいか猫に判断させましょう。 |
| 猫が飛びついた方が本物に見えるいうことです」と庄屋の家の猫を連れてきた。 |
| 庄屋は自分が勝つに決まってると思ったが、猫が飛びついたのは吉四六のネズミだった。 |
| 実は吉四六のネズミはかつおぶしで作ってあり、猫が飛びつくのは当たり前だったのだ。 |
| 村人がその木は縁起が悪いんじゃないのかと聞くと「この木は悲しいの木じゃなく嬉しい(椎)の木じゃ」と言って、唖然とする村人を尻目に帰っていった。 |
| 訳を聞くと寺の釣鐘が「ぶらっと下がっている」か「下がってぶらっとしてる」かを言い争っているのだと言う。 |
| 知恵者の吉四六なら答えが判るだろうと言う二人に吉四六はしばらく鐘の周りをうろうろした後「鐘はぶらっと下がっているのでも下がってぶらっとしているのでもない。 |
| ある日吉四六は変装をして、町の店という店に「牛の鼻ぐり(牛の鼻につけて手綱を通す道具)はないか?」と聞いて歩いた。 |