| 山中は遊戯療法に関する研究・実践も数多く行っているのが特徴的で、神経症から、(自閉症、アスペルガー症候群)まで多岐にわたる。 |
| 山中が児童精神科医として勤め始めて10年が経過した頃に、山中の自閉症についての試論(笠原嘉編『分裂病の精神病理 5』所収、東京大学出版会、1976)が中央公論社の編集者の目に留まる。 |
| 編集者は、山中の自閉症に関する論文を読んだ際、山中が治療者としての力量があると判断し、山中に「少年期について何か書かないか」と持ちかけた。 |
| 山中は当初、これを断ったが、自身が児童精神科で出会った子どもたちとの遊戯療法(playtherapy)を記し、それが「少年期の心 -精神療法を通してみた影-」(中公新書,1978)となった。 |
| 本書は児童期・思春期の精神・心理療法における古典的名著とされ、ほぼ毎年、版を重ねて読み継がれている(2007年で第23版)。 |
| 「少年期の心」では、子どもの事例を7つ述べ、箱庭や写真、手紙などのさまざまな表現を用いて、子どもたちが治癒していく過程が記されている。 |
| 本書は国内だけではなく、国外でも反響が多く、山中が、台湾で正式な翻訳書が出る前に中国語の海賊版が出回っていることを知り、驚いた逸話がある。 |
| その後、南山大学助教授を経て、京都大学教育学研究科の助教授となる。 |
| 山中は「少年期の心」が河合の目に留まったのではないかと推測している。 |
| 現在は日本遊戯療法学会の会長を務める。 |
| これ以外に、最近では米国のプレイセラピストとして高い評価を受けているゲリー・ランドレスの「プレイセラピー」の監訳を担当する等、精力的に遊戯療法の発展に多方面から取り組んでいる。 |
| 山中の業績には日本における描画等の芸術療法や箱庭療法など表現療法で先駆的なものが多い。 |
| 箱庭療法に関しては、D.カルフの主著(Sandspiel-SeineTherapeutischeWirkungaufdiePsyche)の翻訳を行い「カルフ箱庭療法」として出版されている。 |
| また、国内の箱庭療法の発展・普及に尽力し、箱庭の国際学会の設立にも携わり、現在はドイツのSANDSPIEL-THERAPIE誌の編集顧問も務める。 |
| 山中は風景構成法を考案した精神科医の中井久夫から風景構成法を直接、学び、それを臨床心理学の分野に従事する研究者・学生に伝える役割を果たした。 |
| このように、風景構成法は臨床心理の分野にもたらされ、日本の臨床場面において多用され、根付く契機となった。 |
| 風景構成法における著作・研究は多岐に渡る。 |
| また、山中は日本に箱庭療法やユング心理学を導入した河合隼雄と研究をし、箱庭療法の使用・普及に尽力した。 |
| このように風景構成法と箱庭療法が日本に定着するために尽力し、心理臨床学の深化と心理臨床と精神医学との橋渡しをしてきた。 |
| 山中は芸術療法という言葉が、否が応でもうまい下手などの評価が付きまとってしまい、クライエントにとり負担になる可能性があるとして、患者が自分の内的なことを「表現」するほうが適しているとして、「芸術・表現療法」と並列している。 |
| 山中独自の研究には、英国の児童医及び精神分析学者であるドナルド・ウィニコット(D.W.Winnicott)のスクイグル法を、さらに独自に発展させたMSSM(MuturalScribbleStoryMaking、交互ぐるぐる描き投影・物語統合法)がある。 |
| またMSSM法をクライエントに施行する中で生まれたMSSMにコラージュを付けるというMSSM+Cという療法もある。 |
| MSSM法やコラージュ療法は山中が精神科医として病院に勤務したり、治療を行なう中で、クライエントとの関りの中で創案したことで知られ、理論のみでなく臨床に重点を置いた中から出てきたことが窺える。 |
| また山中は思春期における不登校状態を、単に病理として捉えず、より多面的に不登校状態を捉えている。 |
| その子ども達と会う窓口として、「心の窓」(思春期内閉症候群)を提唱し、理論・実践両面で発展した。 |
| この理論は、独創性が高く、現在も多くの臨床家に影響を与え重要な指針となっている。 |
| また娘は音楽家のACECHiCOで、共に「ほほえみのわけ」谷川俊太郎さん作詞/山中康裕作曲/ACECHiCO作編曲にてCDを発売している。 |