華帆 ★ExOuc/ZoU8U [ @saya ]
―プロローグ―
人はかならず条件を付けて何かを解決しようとする。
その条件が意外なものだったらかならず断るだろう……。
しかし、もしその人があまりにも優しい人だったら、
かならずそのことに賛成するだろう―――。
――――――
―character―
川村 利映 カワムラ リエ 女
伊藤 雅弘 イトウ マサヒロ 男
岡宮 怜佳 オカミヤ レイカ 女
――――――
佐々木 佑 ササキ ユウ 男
本堂 結美 ホンドウ ユウミ 女
青山 琴音 アオヤマ コトネ 女
今野 和輝 コンノ カズキ 男
2008/09/12 21:16 - No.1 華帆 ★ExOuc/ZoU8U [ @saya ]
―第一章―
町はすっかり夜になっていた。
辺りは暗く、人々は気持ち良さそうに眠っていた。
「ここはこうで……うーん違うなぁ ... もっと見る
華帆 ★ExOuc/ZoU8U [ @saya ]
―プロローグ―
人はかならず条件を付けて何かを解決しようとする。
その条件が意外なものだったらかならず断るだろう……。
しかし、もしその人があまりにも優しい人だったら、
かならずそのことに賛成するだろう―――。
――――――
―character―
川村 利映 カワムラ リエ 女
伊藤 雅弘 イトウ マサヒロ 男
岡宮 怜佳 オカミヤ レイカ 女
――――――
佐々木 佑 ササキ ユウ 男
本堂 結美 ホンドウ ユウミ 女
青山 琴音 アオヤマ コトネ 女
今野 和輝 コンノ カズキ 男
2008/09/12 21:16 - No.1 華帆 ★ExOuc/ZoU8U [ @saya ]
―第一章―
町はすっかり夜になっていた。
辺りは暗く、人々は気持ち良さそうに眠っていた。
「ここはこうで……うーん違うなぁー……」
ある団地の中心に立っている豪華なお屋敷。
そのお屋敷には一人の年寄りが住んでいた。
彼の名前は敏沢栄一郎(トシザワエイイチロウ)。
有名な推理小説家で自分専用の部屋で原稿を書いていた。
ある一人の男性が自殺に見せかけて殺されるという物語だった。
「失礼します」
トントンと扉を叩いて入ってきたのは若い女性。
敏沢の助手だった。名前は三神沙和(ミカミサワ)。
「おおー沙和君。お茶を持ってきてくれたのか。わざわざありがとよ」
「いえ……助手ですから……」
沙和は敏沢に気に入られていた。
だからいつも笑顔でにこりと笑いお茶を淹れる。
「では、頂くとする」
「はい」
敏沢はお茶を持ち、口へと持っていった。
だが、
「ぐ! う、う……あ……く――――」
敏沢がお茶を飲み、呻き声をあげ、床に倒れた。
敏沢は息を引き取った。
そんな光景を三神は助けもしないで見ていた。
そして、ある手紙を机に置いて部屋を出たのだった。
2008/09/13 17:13 - No.2 華帆 ★ExOuc/ZoU8U [ @saya ]
四月。それは桜が舞う春の季節でもあり、新学期の季節でもあった。
受験に成功し、私立高校に入学した川村利映(カワムラリエ)。
彼女は中学一年生の時から塾に通い勉強を頑張っていた。
その成果も出たのかもしれない、と利映は思った。
入学して一週間が経ち、平凡に学校生活を受けていた。
とくになにも変わったことは起きてない。
だが、国語の授業の最後が最悪だった…………。
「では二分前になったのでさっそく今日の漢字を言うぞ」
利映の担任教師で国語担当の伊藤雅弘(イトウマサヒロ)。
彼は優秀だと知っている知人が言っていた。
最初は良い人なのかもしれない、と思っていたが、この最後の授業を受けて
良い人じゃないって自分は確信していた。 2008/09/14 07:31 - No.3 AZUSA ★eX.jpiCGtko [ @azusakunn ]
初めまして。
AZUSAっています。
探偵物とか、書いてるひと、
すごい尊敬しちゃいます!
毎回楽しみにしまぁす! 2008/09/14 10:52 - No.4 華帆 ★ExOuc/ZoU8U [ @saya ]
AZUSA>
コメントありがとうございます。
尊敬ですか。。。なんか嬉しいです。
毎回来てね。頑張るからっ。 2008/09/14 13:38 - No.5 華帆 ★ExOuc/ZoU8U [ @saya ]
最後にかならず行うことは一文字の漢字。
その漢字の使い方などを覚えるが、その漢字は生徒たちの名前の中にある漢字だった。
名前の中にその漢字が入っていたら、伊藤はその生徒にこうするといい、と教えるのだ。
それが当たる時なんてなかった。全てはずれだ。
(当たらないよーに……神様……)
川村は必死に心の中で唱え続ける。
もし名前の中に入っていたら最悪だ。
「じゃあ今日はこの漢字だ」
目をそっと開け、黒板を見る。
黒板に大きく書いてあったのは利用の『利』。
「嘘……」
川村はがくりとしていた。
まさか四月から運が悪いだなんて思いもしなかった。
伊藤は川村を見てにこりと笑う。 2008/09/14 13:48 - No.6 華帆 ★ExOuc/ZoU8U [ @saya ]
「川村利映の『利』だ」
伊藤は黒板に書いてある『利』を指さした。
クラスメイト達は一斉に川村を見た。
「この漢字は利用でも使われている。つまり君は僕のスパイになるんだな」
「そ、そんな……」
川村はそんなこと急に言われても困る、という顔をしていた。
そんな気まずい中、チャイムが鳴った。
「ではこれで国語の授業を終わる」
「「「ありがとうございました」」」
生徒たちの大きな声で授業は終わった。
ほっとした川村は教室を出た伊藤に話したいことがあるため、廊下に出た。
「伊藤先生!!」
川村が大きな声で叫ぶと、伊藤は後を振りかえった。
さっきとは違い、眼鏡をかけていた。
少しドキッとした。
眼鏡をかけている伊藤は生徒たちにモテルのだ。
いくら男性に無関心な川村でもドキッとしてしまうのだ。 2008/09/14 20:47 - No.7 華帆 ★ExOuc/ZoU8U [ @saya ]
「スパイってどういうことですか?」
「その三文字通りだ」
川村が訊くと伊藤は単純に答えた。
そしてまた歩き始めた。
「ただ感漢字を覚えるだけでいいじゃないですか!」
川村は廊下にいる生徒たちに見られていても戸惑うことはなかった。
これは伊藤と川村との二人の問題だからだった。
「僕は国語の担当の教師なんだ。担当だったら生徒たちのために色々と教えたりすることが大切だ」
伊藤は川村に寄ってきて、そう言い白衣を揺らし、歩きだした。
川村には何も言うことがなかった。
たしかに国語担当だった。
あっそうかーと一度だけ思ってしまった。
「これから……どう……なるんだろう……」 2008/09/14 21:24 - No.8 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
ミス一回目……�bWの川村のセリフを間違えました。
「ただ感漢字を覚えるだけでいいじゃないですか!」
の『感』はなしです。ほんとは『ただ漢字……』だけです。
今度は失敗しないようにします。
――――――
「どうしたの利映」
教室に戻り、自分の席へと戻った川村。
一人でさみしそうに机に頭を乗せていると、
一人の女子高生がやってきた。
「ああー琴音。今日は最悪だよー」
彼女の名前は青山琴音(アオヤマコトネ)。
の一番の友達でよく相談に乗ってくれる子だった。
「もしかして伊藤先生の言ってたこと?」
青山が言うと川村は頷くようにして顔を伏せた。
青山はどうやら理解できたようだった。
「それはしょうがないことだよ。私はまだだけど、他の子は皆その通りにしてるから……」
「そうかーそうだよねー……はあー……」
青山は思いついたように手と手をポンッと叩いた。
「先生ってね、実は推理力100パーなんだって。よく知り合いの刑事に
頼まれて事件を推理してるって聞いたことがあるよ」
「えっ……」
はそれを聞いてパッと起き上がった。
もし本当なら川村はかならず事件に協力させられるだろう……。
川村は呆然と黒板を見つめていた……。
2008/09/15 16:45 - No.9 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
私立高校の職員室は綺麗だった。
公立高校よりも成績がいいからだろう……。
伊藤は白衣を脱ぎ椅子にかけ、座って本を読んでいた。
こう見えても本好きだった。特に推理ミステリーは。
「何を読んでるんですか。伊藤先生は」
伊藤が真剣に本を読んでると、一人の男子教師がやって来た。
同じ学年の担任の佐々木佑(ササキユウ)。
伊藤のライバルでもあった。(と佐々木は思っている)
「本を読んで何が悪い」
「別に悪くはないんですけどねー」
伊藤は本を読みながら言った。
佐々木は隣の椅子に座りかっこよく言った。
伊藤は気にせず本を読む。 2008/09/15 20:58 - No.10 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「あっニュースが始まりますよー」
職員室ではテレビは毎日つけてある。
何かあるのか気になる教師が多いからだった。
伊藤はニュースはたまに見る。
よく刑事に捜査協力を頼まれるからだった。
なぜ頼まれるか……。
知り合いに刑事がいる。
その刑事がなぜかしら頼みに来るのだ。
面白い事件だったらよく解いてる伊藤。
それのせいか、女性教師にもモテモテだった。
それを知っている佐々木は許せなかった。
『今日未明、あの有名推理ミステリー小説家、敏沢栄一郎が自宅で倒れているのが見つかりました。
毒物による窒息死で机に遺書があることから、警察は自殺とみて捜査を行っています』
今回のニュースは自殺したというニュースだった。
伊藤は一辺だけちらりとテレビを見たが、すぐに関係ないと、また本に目を向けた。 2008/09/16 18:22 - No.11 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「死亡推定時刻は昨日の午後9時と思われます」
豪華なお屋敷――――敏沢家の周りには、パトカーがたくさん止まっていた。
もちろん栄一郎の自殺の件だった。
この捜査の担当者は、謎に引っ掛かる有名刑事、岡宮怜佳(オカミヤレイカ)。
そして、そのパートナーでもある今野和輝(コンノカズキ)。
「それは分かった。それより気になったことがある」
「なんですか?」
今野は床に倒れている栄一郎を見ながら立った。
手には指紋が付かないよう白い手袋がはめられていた。
「どうしていっつもお前と一緒なんだ?」
今野が人指し指で岡宮を指しながら言った。
岡宮はきょんとした顔をしていた。
「それはパートナーだからです。それぐらい覚えておいてください」
「はいはい分かったよ」
岡宮がピシッと言うと、今野はまた捜査を始めていた。
2008/09/17 20:26 - No.12 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「遺書もあるし、これは限りなく自殺だな」
「まだ証拠も見つかってません。遺書と毒物だけで自殺と測定するなんて……」
岡宮はどこまでも事件の真実を追い詰める刑事だった。
こういう事件の場合、他殺でしか思えなかった。
「じゃああいつにでも頼んでみるか?」
「あいつって誰のこと?」
「君が知ってる上級刑事、畑中浩二(ハタナカコウジ)の知り合いが天才だそうだ」
「それで?」
畑中浩二はもちろん知っていた。
岡宮が新人刑事として入った時に一番にお世話になった人だからだった。
優しく、女刑事の中では憧れの的だった。 2008/09/19 19:04 - No.13 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「その知人がよく事件を解決してるらしい。だから頼んでみるか?」
「へえーだから畑中さんはすごいのかなあー……」
岡宮はメモ手帳にそういうことをメモしていた。
忘れるといけないからだった。
(しかし中級くらいの今野さん……なぜそんなに詳しい??)
岡宮は聞いてて思った。
岡宮今野の二人は中級くらいだった。
今月に入ってやっと中級刑事になったのだ。
こんなに詳しいということは畑中と友人どうしなのかもしれない。
二人で一緒にいるところを時々見かけている。
「やっぱりそうだったんだ……」
「何がだ」
「あっいや……何でもありません」
「そうか……」
こんなこと聞けるはずがない。どうせ怒られるだけだ。
岡宮は今野に畑中の居場所を聞いた。
明日から畑中はアメリカに行くという。ちょっとした旅だそうだ。
2008/09/19 21:13 - No.14 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「で、それを聞いて来たんだな」
「そうです。知人のことを教えてください」
とある喫茶店で畑中と待ち合わせをしていた岡宮。
畑中はいつものように刑事用のスーツを着ていた。
岡宮は事件のことについて畑中に全て話した。
死亡したのは敏沢栄一郎、小説家。午後九時頃だった。
毒物による窒息死で机に遺書があったことから自殺だと捜査している。
部屋には書き途中の原稿用紙と遺書、それに死体だけが証拠だった。
第一発見者は敏沢の助手である三神沙和。
ドアをノックしても返事がなく、開けてみたら床に倒れていたということだった。
「同い年で今は私立高校の教師だ。国語担当でちょっと変わった奴だぞ。
まあ天才っちゃ天才なのかなー。ほんとに会いに行くのかい?」
「もちろんです。事件解決のため」
畑中は「ふうーんそうか……」と言ってコーヒーを全て飲み干した。
「捜査に協力してもらえるよう頼むにはかならず条件をつけなければいけない」
「条件?」
「何かおいしいものあげれば協力してくれるぞ」
「はあーまあそれはいいんですけど……なぜ?」
「俺もよく分からないんだけどね」
畑中は立ち上がり、お金を払い外に出た。
それと同時に岡宮も外に出た。
「今は多分学校にいるだろう。俺はここまでだ」
「はい、分かりました。桜内高校ですね。ありがとうございました」
「いや、役にたって嬉しいよ」
こうして二人は別れをかわし、別々の方面へと歩いた。 2008/09/20 13:06 - No.15 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
その畑中の知人の名前は伊藤雅弘。
高校教師で国語担当。
なんでも漢字には色々と疑問を持つらしい。
眼鏡をかけている伊藤は女子にはモテモテだという。
ま、岡宮にはそんなこと関係のないことだが……。
「失礼します……」
私立桜内高等学校は市内でも有名な名門校。
ここでは伊藤のおかげで国語に興味を持つ人が多くなった。
職員室に入ると、他の教師が一斉に岡宮を見た。
ぎょっとした岡宮はすぐさま、横にいる教師に話かける。
「あの……伊藤先生っていらっしゃいますか?」
岡宮はそっと小声で話しかける。
その教師は男性で、なぜかいらいらしてるようにみえた。
「おまえは刑事だろう? みりゃあ分かるよ。あの窓側の席にいるよ」
「はあ……分かりました」
へんな教師だなーと思いながら岡宮はその場所へと歩いた。
そこには椅子に座って推理小説を読んでいる男性教師がいた。
2008/09/20 16:09 - No.16 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「あの……伊藤先生ですよね?」
おそるおそる話しかける。
こういうところが一番気まずかった。
「そうだが、何か?」
伊藤は本のページをひらりとめくり、言った。
性格は見た目はクール系。
本物の性格はよく分からなかった。
「警察のものです。名前は岡宮怜佳といいます」
「警察? 刑事がなんの用なんだ?」
本物の性格はきつそうだった。
岡宮とは目を合わせず、本に集中する伊藤。
「実は先輩刑事があなたの知り合いだと知ったもので……」
「ああー畑中のことか」
どうやらここまでは順調のようだった。
また、伊藤は本のページをひらりとめくる。
2008/09/20 23:37 - No.17 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「お願いします。どうか、捜査に協力して下さい」
岡宮は必死に言い、頭を下げお願いした。
畑中が言うのだから間違いなく今回の事件もこの伊藤が解決してくれる。
「嫌だな。今日は忙しいんだ」
「あなたが必要なんです。解いてくれたら生チョコあげますから」
岡宮は畑中の言っていたことを思い出し、そう言った。
条件を付ければ協力してくれるからだった。
すると伊藤は本を読むのをやめ、初めて眼鏡を外した。
「しょうがない。じゃあその事件の内容について詳しく聞かせてくれないか?」
「あ、ありがとうございます」
やはり条件が役に立った。
ほっとした岡宮は伊藤に「現場に行きましょう」と言った。
伊藤は白衣を脱ぎ、コートを着た。 2008/09/21 12:42 - No.18 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「被害者は敏沢栄一郎。有名な推理ミステリー作家です」
岡宮と伊藤は、現場である屋敷に来ていた。
死体はもう無くなっていて、白い紐であとが付けられていた。
岡宮は真剣に現場の部屋を見ている伊藤に説明していた。
「僕はこの作家が一番のお気に入りだったんだ。まさかこんな部屋だったとは……」
どうやら伊藤は敏沢のファンだったみたいだ。
初めて部屋が見れて感激していた。
「毒物による窒息死で自殺だったそうだな」
「はい。午後九時頃死亡したと……」
「第一発見者は?」
「えっと、助手の三神沙和さんです」
「そうか……」
伊藤はそれを聞いてから、机の上に置いてあった原稿用紙を手に取り見ていた。
どうやら新しい物語の途中だった。
「何を見てるんですか?」
岡宮が訊くと、伊藤は原稿用紙を岡宮に手渡した。
2008/09/21 15:37 - No.19 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「原稿用紙だ。今日は暗くなるから帰る」
「えっも、もうですか? まだ数分しか……」
岡宮が言おうとした時、伊藤の手が岡宮の肩に触れた。
岡宮は伊藤と目を合わせた。少しドキッとしていた。
「明日、僕のスパイも連れてくる。この現場で集合だ」
「はあ……」
伊藤はそれだけを言い、部屋を出てしまった。
「自分勝手な人」
岡宮は思った。
これからもこういう自分勝手が続くのではないか、と思った。
岡宮は手渡された原稿用紙を見る。
「あれ?」
気になったことが一つだけあった。
それはその原稿用紙の半分が破かれていたからだった。
何か意味でもあるのか。
岡宮は疑問に思い、その原稿用紙を机の上に置いた。 2008/09/21 16:50 - No.20 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「捜査に私が協力するってどういうことですか!?」
自分が伊藤に君は僕のスパイなんだと言われた次の日。
利映は頭が爆発しそうなくらい怒りが溜まっていた。
職員室の窓側にある伊藤の席で大声を出す利映。
伊藤はかなりの無表情だった。
「昨日言っただろう。君は僕のスパイなんだから」
「そ、そんな……」
伊藤は、眼鏡をかけていて冷静だった。
利映はがくりとしていた。
「この事件が解決できたら生チョコがもらえる。どうだ?」
「チョコって……ほんとですか?」
「ああー本当さ」
最近、利映は頭が疲れていてちょうどチョコが食べたかったのだ。
ま、しょうがないやと思い「じゃあ協力します」とつい言ってしまった。
「うん分かった。じゃあ職員玄関で待っててくれ」
利映はそれを聞いてから、職員室を出た。
利映は事件に興味を抱いていたので嬉しかった。
伊藤の前では本音は言えなかったのだ。
「ま、捜査に協力できるからよかった」 2008/09/21 20:37 - No.21 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「…………ここですか先生」
「ああーここが現場だ」
二人は敏沢栄一郎の自宅に来ていた。
二度目の伊藤は一回目よりもあまり感激していないみたいだった。
(すごい……)
もちろん初めて来た川村はすごく感激していた。
目を大きく開け、驚いていた。
「刑事さんが待ってるんだ」
「あっそうだった……」
そう。中では一人の女刑事が待っているのだ。
川村はテレビとかでしか刑事というのは見たことがなかった。
本物を見るのはこれが初めてだった。
現場の部屋に入ると、やはり女刑事が足踏みしながら待っていた。
どうやら待たせたようだった。
「遅いですよ伊藤先生!! 何時間待ったと思うんですか!?」
「悪い悪い。教師も色々といそがしいんだ」
今にも頭が爆発しそうな岡宮。
伊藤はびびることなく近くにあった椅子に座った。
2008/09/22 20:50 - No.22 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「うーんこの椅子はここちよい」
「先生……」
伊藤は椅子に座って言っていた。
川村は飽きれたようにしていた。
岡宮はもちろん、そんな伊藤を見て腹が立っていた。
「伊藤先生。あの原稿用紙のことが分かりました」
岡宮は鞄の中から原稿用紙を出し、それを伊藤に渡した。
川村は首を傾げていた。
「これは……殺人事件です」
岡宮はきっぱりと言った。
伊藤はうんうんと何やら頷いていた。
「自殺じゃないの?」
川村はニュースや新聞で自殺ということを聞いていた。
なので自殺だと思っていた。
「この原稿用紙の半分が破れていてありませんでした。もしかしたら証拠を無くすために、
わざわざどこかに捨てたのでしょう。ていうことは、その原稿用紙の半分がどこかにあるはずです。
それか違う証拠があるかも……」
「素晴らしい推理力だ。しかし、もう半分はない」
「えっ……どういうことですか?」
岡宮は伊藤に分かったことを全て話した。
しかし、伊藤は岡宮を褒めても推理が少し間違ってるということを伝えた。
岡宮は怒っていなかった。早く真実が知りたかった。 2008/09/23 17:27 - No.23 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「そんなもの、ゴミ箱に捨ててとっくに無くなってるはずだ」
伊藤は立ち上がり、眼鏡を外した。
川村はその眼鏡を受け取った。
そして耳元で小声で「拭いてくれ」と言った。
どうやら曇ったようなので拭いてほしいということだった。
「しょがないですねー拭いてあげますよ」
「ありがとう。助かる」
川村はポケットからハンカチを出した。
「取りあえず、証拠を探そう。きっとあるはずだ」
「はい分かりました」
伊藤と岡宮は色々と探りながら探していた。
本棚、引出し……。
伊藤は、床を見た。
特に何もなく、本棚の下を見た。
すると、伊藤は何か発見したみたいで近くにあったティッシュでそのものを取った。
出てきたのは何かの破片。
「伊藤先生? 何か出てきたんですか?」
「犯人はよくミスをする人だ。もしかすると……」
「分かったんですか?」
伊藤は川村から眼鏡をもらい、それをかけた。
2008/09/23 18:52 - No.24 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「犯人は敏沢さんの助手である三神沙和だ」
伊藤ははっきりとその名前を口にした。
岡宮はそれを聞いて驚きのあまり手で口を押さえた。
「ど、どうしてそれが分かったんですか?」
「この破片が証拠だ」
と、伊藤はティッシュに包まれた破片を見せた。
何かの器の破片みたいだった。緑色の変わった感じの破片。
「多分これはお茶を入れるいわゆるコップの破片だ」
「へえーで、なんで犯人なんですか?」
伊藤は原稿用紙を見せた。
岡宮は首を傾げ、その原稿用紙を取った。
2008/09/23 19:19 - No.25 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「この原稿用紙の半分、もしかしたらお茶がこぼれて濡れたため、
半分だけ破って捨てたんだ」
「さすがー…」と川村は伊藤を褒めた。
「岡宮君、例の遺書を見してくれ」
「あ……机に置いてあった奴ですか? ありますよ」
と、岡宮は鞄の中からビニール袋に入れたままの遺書を出した。
伊藤はそれを受け取った。
「この遺書を書いたのは敏沢さんご本人だ」
「え……どうしてですか? たしかに敏沢さんとまったく同じ文字でしたけど……」
岡宮は疑問に思った。
遺書の内容は小説のストーリーが上手くまとまらないため死ぬという感じだった。
見たところ、敏沢本人の文字で書かれていた。
他殺だとすれば、別の人が書いたに違いないと思っていた。
2008/09/24 19:23 - No.26 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「三神さんが書いたにしては、やたらと内容が細かすぎる」
「ああーたしかに……。それで自殺だと思ってしまったのかも……」
岡宮は伊藤の推理が正しいことに気づいた。
川村はそれを聞きながら、大きなあくびをして退屈そうに椅子に座っていた。
「えっじゃあ待ってください。そうすると、敏沢さんが自殺するかもしれないことを
三神さんは知っていたから殺した……ていうことですよね?」
「そのとおりだ」
伊藤はビニール袋を岡宮に手渡した。
岡宮はそれを受け取り、鞄の中にしまった。
「じゃあ三神さんを探さないと……」
「その必要はない」
「えっ……どうしてですか?」
岡宮が部屋を出ようとしたら伊藤はそれを止めた。
岡宮はすぐに伊藤のところへと駆け寄った。
「廊下にはすでにこの話を聞いている三神さんがいるからだ」
伊藤のその一言を聞いて岡宮は驚いた。
川村は急いで、扉を開けた。
「あ――――三神さん……」
外にいたのは敏沢栄一郎の助手である三神沙和だった――。
2008/09/24 20:54 - No.27 愁也 ★7WkJeqbcwFo
ご依頼ありがとうございます。
告知から参りました、愁也です。
わたくし新本格ミステリのファンですので辛口が混じるかも知れませんが、ご了承ください。
まずは感想から。
本格が廃れ、新本格ですらそのあとを辿りつつあるこのご時世に初心者がミステリーを書くなんていい度胸してんなーなんて思ってしまいました。
(決して喧嘩売ってるわけではなく)
はじめに犯人が出てくるのは、いいインパクトの付け方ですね。
しょっぱなにフーダニットの線が消える残念さももちろんありますが。
ただ、読み進めるにつれ首をひねってしまうところが多く、今ひとつミステリとして楽しめなかったのは残念でした。
続いて批評です。
これはハウダニットですか?それともミステリの体を成したキャラクター小説ですか?
ハウダニットにしてはご都合主義が目について少々萎えてしまいますし、キャラクター小説にしては登場人物が立っていないように思えます。
なんだがぬるま湯で薄めた本格パロディを読んでいるようでした。
また、地の文が過去形ばかりで描写されているのはわざとでしょうか?
なんとなく箇条書きを読んでいるような気分になって、場面の想像が膨らんできません。
心理描写や生理描写をもう少し増やしてほしいところであります。
最後にアドバイスです。
地の文の描写にところどころ「一辺」「なので」「クール系」などの話し言葉が混じっています。
見たところ叙述トリックでもなさそうですし、3人称の神の視点での文ではそういった表現はしないようにしましょう。
また、改行後は一マス空けてから書き始めましょう。
ただし台詞の場合はその必要はありません。
ハウダニットとして見るのであれば、もう少し事件の内容を掘り下げましょう。
詳細もなにも分からず、読者は置いてきぼりです。
キャラクター小説なのであれば、登場人物それぞれの個性をもう少し出してみてはいかがでしょうか。
誰もかれも同じような話し方をしている上に心理描写や生理描写がなく、人間らしさを感じられません。
以上です。
何か質問があれば告知記事までどうぞ。
それでは失礼いたします。 2008/09/24 23:11 - No.28 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
愁也さん>
うわあっなんか参考になるアドバイスありがとうございます。
もう少し、頑張ってみます。わざわざありがとうございました。
2008/09/26 19:24 - No.29 華帆 ★WWmznk05k/M [ @saya ]
「この人の言うとおり、私が敏沢先生を殺したんです」
三神が初めて発言した驚きの一言。
伊藤はすごいと川村岡宮はびっくりしていた。
これが伊藤の簡単にまとめた推理。
「私はもちろん、先生を殺す動機なんてものはありませんでした。
最初っから殺すつもりなんてなかったんです」
三神は続ける。
「でもクリスマスの一二月。私は知ってしまったんです」
三神の表情は徐々に切なくなってきた。
「それが敏沢さんの本当の決意」
「はい。ずっと前から決意していたんだと思います。自殺のこと……」
伊藤は真剣な表情で三神の話を聞く。
もちろん岡宮も真剣に聞いていた。
「それから何ヶ月か経ったある日のこと、先生は遺書を書いていました。
その時、本当に信じられなかったんです。ずっと原稿に悩んでいたなんてことも……」
三神の目からは、一粒の小さい雫。
それは床にポツンと落ちた。
「知ってしまっても私にはどうすることもできませんでした。
ただ見送るだけしか……。そんなこと嫌だったんです。だから殺して天国へ行った方がましだって気づいて……」
「それで殺した……か」
「三神さん…………」
三神はとうとう大粒の涙をたくさん流しながら床に座り込んだ。
もう、伊藤や岡宮、川村にはどうすることもできなかった。 2008/09/26 20:34 - No.30 氷雨☆K5zA4xL6Gw2 ★MlAEPQhZA7U [ @tubame ]
遅くなってすみません;;
氷華堂より参りました、氷雨です。
それでは批評と感想を。
段階[灰]でよろしかったですか?
感想*
そうですね……私、ミステリーは好きなんですよ。でも上手く書けないんですね。
此処で書かれているということは、初心者様なのでしょうか? ミステリーを書くなんて、凄いと思います!
批評*
えっと、話が淡々と進みすぎていると思います。もう少し、犯人の心理描写やなどを入れるといいと思いますよ。
キャラクターの性格などが良くつかめません。キャラを作りこんでみると良いと思います。
なお、これは私の勝手な批評ですので、何か意見がありましたら、また氷華堂までお越し下さい。
それでは、更新頑張ってくださいねv
2008/09/26 20:43 - No.31 華帆 ★Ho/BRNUb7yc
氷雨さん>
わざわざ告知からありがとうございます。
批評の内容も分かりました。頑張ってみます。
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私立桜内高等学校の庭で伊藤と岡宮、川村は椅子に座っていた。
上を見上げると、空は一面とても綺麗な薄水色をしていた。
「なんか昨日悲しい出来事があったっていうのにこんな晴天なんておかしいですよね」
岡宮は昨日の夕方に自首した三神沙和のことを思い出した。
小顔で背も普通、髪が長くとてもスタイルのいい人だった。
「別に僕はこの天気でよかったと思ってる。昨日のことが忘れられそうだ」
「そうですね先生。そういえば例のチョコレートってまだですか?」
「あっそうだった……すっかり忘れてたけど思い出して昨日の夜買ってきたんだよ」
と、岡宮は鞄の中から細長い箱を取り出した。
パカッとふたを開けて中を見ると、そこには生チョコが六つ入っていた。
六つとも同じ丸の形だった。
「うわあーおいしそー」
「これはいいものを買ってきた」
「言われると買ったかいがあるって思えます」
二人とも生チョコを手に取り、口の中へ入れた。
「うーんおいしいー」
「まさに高級感があるな」
川村はおいしく食べていた。
伊藤は普通に味わいながら食べていた。
「じゃあ私も…………」
と、岡宮が生チョコに触ろうとすると、川村が箱ごと取った。
「ちょ、ちょっと……私にだってくれたっていいでしょ!!」
岡宮は驚き、声を上げる。
伊藤はくっと少しだけ笑った。
「やだねー刑事さんはまら今度食べなさーい」
「ああーもう!! 子供ってなんなのよー!!」
岡宮はがっくりと椅子に座り落ち込んでいた。
川村は箱を持って、奥の方へと逃げてった。
伊藤は「二人は面白い」と言って椅子から立ち上がった。
2008/09/27 17:27 - No.32 華帆 ★Ho/BRNUb7yc [ @saya ]
― 第二章―
とある団地の中心地ぐらいのところにある洋風の家。
その家は昼間の太陽に照らされていた。
一階にはお爺さんとお婆さんがソファーに座ってテレビを見ていた。
二階には母親と孫が別々の部屋にいた。
「真利(マリ)、今日はお外に出かけないかしら?」
孫娘の名前は木凪真利(キナギマリ)。
高校一年生で部活はバトミントン部所属。性格はクール。
母親の名前は木凪早枝(キナギサエ)。
職業は看護師でいつも忙しい毎日を過ごしていた。
「嫌だ。今日は家がいい」
いつも我が儘な真利はすぐにそれを断った。
早枝は飽きれてトントンと真利の部屋のドアを叩いた。
「入っていいかしら」
「勝手にして」
早枝はドアをゆっくりと開けて、中に入った。
中には椅子で勉強をしている真利がいた。
「お母さんも時々休みがもらえるの。だからいいでしょ?」
「嫌だって言ってるじゃん……とにかく私は家がいいの」
早枝が部屋を出ようとした時、グサッと何かが背中に突き刺さった。
早枝は驚きの悲鳴が出せず、そのまま床に倒れた。 2008/09/28 14:28 - No.33 華帆 ★Ho/BRNUb7yc [ @saya ]
「今日の授業はこれで終了だ。明日から小説に入るから予習しておくように」
「「「ありがとうございます」」」
四月中旬。桜の木はもうすぐ変化しようとしていた。
私立桜内高等学校に通う川村利映は午前の授業をちょうど終えたところだった。
「ねえ、利映。今日とってもいい授業だったと思わない?」
川村が席を立とうとした時、青山琴音がやって来た。
相変わらず気分が良さそうにしていた。
「そう? 別に私はいつもと変わらない国語の授業だったと思うけど」
「ははーん、やっぱり伊藤先生と何かあったんだ……」
青山が「うんうん」と頷きながら言った。
川村は顔を赤くして恥ずかしそうにしていた。
「もしかして、デート?」
「ち、違うよ!! どうしてあんな先生とデートなわけ? 絶対おかしい」
「あんな先生とはどういうことだ?」
ふと、川村が機嫌を悪くしてると、伊藤ご本人が白衣を着て後ろに立っていた。
驚いた青山と川村は一辺心臓が止まりそうになった。 2008/09/28 18:59 - No.34 華帆 ★Ho/BRNUb7yc [ @saya ]
「あ、あの……利映とはどういう関係なんですか?」
青山は初めに一番気になっていたことを訊いた。
川村は顔をそっぽに向けて恥ずかしそうにしていた。
「ああー僕のスパイということだけだ。特になにもない」
「そうだったんですか……教えて頂きありがとうございます」
「それを知りたかったのか?」
「はいそうです」
「じゃあこれで失礼するとしよう」
「わざわざありがとうございました」
伊藤は白衣を揺らしながら廊下に出た。
青山は微笑んでいるが、川村は伊藤が消えるとほっとしたようにしていた。
「こういうことよ」
「はいはい分かりました。頑張ってね」
青山はそう言うと自分の席に戻った。
川村はなぜか「頑張ってね」という一言が気になった。 2008/09/29 20:45 - No.35 華帆 ★Ho/BRNUb7yc [ @saya ]
「これははっきり言って娘が犯人だな」
とある団地の中心くらいにある洋風の家。
その家の周りにはパトカーが何台も止まっていた。
岡宮と今野は事件があった家に来ていた。それがこの家。
被害者はこの家に住む木凪早枝。職業は看護師。
殺された時刻は今日の午後3時頃、娘の真利の部屋のベッドで倒れているのを
この家の叔母が警察に通報した。
真利は学校へ行っておらず、ずっと不登校続きだった。
もちろん、疑われているのは娘である真利。
「でも、殺された時間、娘の真利さんはゲームセンターへ行っていましたよ」
そう。真利は殺された時間、近くにあるゲームセンターへ行っていた。
監視カメラをチェックすると、間違いなく午後3時頃、ゲームセンターにいたことが分かった。
だから岡宮は真利を疑っていない。
2008/10/01 20:31 - No.36 華帆 ★Ho/BRNUb7yc [ @saya ]
「じゃああの年寄りじいさんとばあさんだっていうのか?」
「はい……多分……そう考えるしかありません」
真利が違うとなれば家にいた真利のお爺さんとお婆さんの
どちらかということになる。
「でもな、この娘の部屋で死体があったんだぞ。どうみたっておかしいじゃないか」
「はあ…………」
死体は真利の部屋のベッドで見つかっていた。
だから警察は真利自身が犯人なのではと考えていた。
そこからおかしくなってしまたのかもしれない。
「また……あの先生に頼んでみるのか?」
「あっそうでした。その手がありましたね」
先生というのは私立高校で教師をしている国語担当の伊藤雅弘という人物だった。
前の殺人事件の時もお世話になっていた。 2008/10/03 19:22 - No.37 華帆 ★Ho/BRNUb7yc [ @saya ]
「伊藤先生は相変わらず真面目ですね」
伊藤が憧れの本堂結美(ホンドウユウミ)。
彼女はかならず伊藤に一言声をかける。それが週間だった。
「僕のことを真面目という人はかならず自分が真面目だ」
「私がですか? そんな……私はただの音楽担当の教師ですよ」
本堂は恥ずかしそうに顔を赤くしていた。
しかし、本当はとても嬉しかった。伊藤に言われたのだから……。
「ただのという言い方はよくないと思う。音楽だっていいじゃないか」
「なんか褒められるの初めてです。ありがとうございます」
「いや、お礼を言う必要はない」
伊藤は机に置いてある一冊の推理小説を読み始めた。
本堂はそれを見て、「かっこいい」と小声で聞こえないように言った。
2008/10/04 16:00 - No.38 華帆 ★Ho/BRNUb7yc [ @saya ]
事件が起きた次の日。
刑事である岡宮は、伊藤が務めている私立高校に来ていた。
中に入り、職員室の方へ向かった。
中を覗くと、とても綺麗に棚とか机とかが整とんされていた。
「ああーこの前来た刑事さんじゃないですか」
「えっ……あ、あの時の……どうも」
扉を開けようとしたら、声をかけられた。
伊藤の場所を教えてくれた教師だった。
「残念だがな、先生はただいまお食事中なんだ」
「そうなんですか……では外で待ってると言っておいてください」
「はいよ」
この前とかわらず機嫌が悪そうな感じがした。
岡宮は右に体を向け、歩きだした。
「あ、あの時刑事さん……」
「あ、たしか伊藤先生のスパイだとか……」
前にいたのはこの前、一緒に事件解決に挑んだ生徒、川村利映だった。
2008/10/05 19:13 - No.39 華帆 ★Ho/BRNUb7yc [ @saya ]
「どうしたんですか? またなんか事件でもあったんですか?」
「まあ……。自分たちでは分からない事件だから……」
岡宮は川村が少し苦手だった。
もちろん伊藤も苦手だが、川村はすぐ機嫌が悪くなりそうな
性格みたいだった。
「ふうん、もしかして木凪家で起こった殺人事件のこと?」
岡宮はそれを聞いて驚いた。
高校生でもニュースや新聞は見るんだなと感心していた。
「そうだけど……。興味でももったの?」
「ていうか、木凪家の一人娘の真利と同級生だからね」
「そうなんだ………………ってええー!!」
川村が木凪真利の同級生だということを知って岡宮は驚いた。
偶然なのか偶然じゃないのか……まったく分からなかった。 2008/10/06 20:24 - No.40 華帆 ★Ho/BRNUb7yc [ @saya ]
廊下を歩いている生徒先生が一斉に岡宮を見た。
驚いた岡宮はすぐにそっぽを向いた。
「だから伊藤先生は今回の事件引き受けてくれるかな?」
川村は鼻歌を歌いながらその場から消え去った。
岡宮は体を元に戻し、ため息を吐いた。
「先生と同じ学校か……大丈夫だよね」
岡宮は最後に言い残していった川村から出た一言が気になった。
誰もが犯人はその娘である真利だと思っている。
その真実を伊藤は知りたくないかもしれない。
伊藤に会うのが気まずくなってしまった……。
2008/10/08 20:51 - No.41 華帆 ★Ho/BRNUb7yc [ @saya ]
ガラっと職員室の扉が開いた。職員室の中からでてきたのは伊藤だった。
岡宮は緊張をほぐし、伊藤に話掛ける。
「伊藤先生、聞いてください」
「また事件のことだろう。僕には関係ない」
伊藤は早歩きをし、角を曲がる。
岡宮もそれに続く。
「関係あるんです。木凪真利さんをご存知ですね」
「……………………」
伊藤は突然立ち止った。
きっと木凪真利という名前に覚えがあったからだろう。
伊藤が岡宮の方を向き、表情をいつもとは違う表情に変えていた。
2008/10/10 23:27 - No.42 華帆 ★Ho/BRNUb7yc [ @saya ]
伊藤と岡宮は、学校の西校舎側にある喫茶店『HOT』に来ていた。
伊藤が毎日コーヒーを飲みに来ているお勧めの喫茶店だった。
「木凪は入学式と対面式の時は来ていたんだ」
伊藤はコップを手に取り、一口飲んだ。
岡宮は何か参考になるような気がしてメモ帳を取り出した。
「なのにそれからは全然来なくなった。家庭が原因かと初めは思ったんだ。
しかし、家を訪ねてみたが家庭に原因はなかった」
伊藤はまた一口コーヒーを飲んだ。
岡宮はボールペンでさらさらと参考になるところを書いていた。
「母親によるとちゃんとご飯は食べているそうだ。健康に異常はない」
「伊藤先生は……木凪真利さんが犯人だと思っていますか」
伊藤の表情が曇った。
木凪真利の担任教師だったら誰だって信じたくないことだ。
2008/10/11 23:35 - No.43 魅羅 ★HrAvQyuWcRk
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