| 2008年、1月11日に古巣オリックス・バファローズが入団合意を発表。 |
| 年俸約5,500万円(推定)+出来高払いの単年契約で、背番号は50番となり、メディカルチェックを経て近日中に正式契約を結ぶ予定だった。 |
| それまでの球界の常識として「獲得を発表した選手には手を出さない」のが暗黙のマナーであったが、1月29日に福岡ソフトバンクホークスが獲得の発表を行った。 |
| これに対しオリックスは「問題がある」としてパシフィックリーグ連盟(以下パ・リーグ)に異議申し立てを行った。 |
| この時点ではオリックス球団公式サイトの選手名簿や春季キャンプ参加メンバーにパウエルも背番号と顔写真付きで掲載されていた。 |
| オリックス側は「球界の暗黙の良識の根幹を揺るがす事態」であり、22日朝にファクスで送られた自署入りの契約書写しが契約合意の根拠と主張したただし、野球協約では正式契約は球団側が本人と対面して結ぶことが必要で、厳密には仮契約となる。 |
| パウエルの行為は二重合意であり、「ソフトバンクは獲得を取り下げてほしい」とソフトバンク側の不当性を訴えた。 |
| 球団本部長の中村勝広も「寝耳に水。 |
| 契約の盲点を突かれた」と漏らした。 |
| また清原和博からは「登録名を『お金』にしろ」と皮肉られた。 |
| 一方ソフトバンク側は「日本では統一契約書が正式な所属を決定付ける唯一のもの」と主張。 |
| 署名・押印も済ませた統一契約書を持っていることを根拠とした。 |
| オリックスの異議申し立てを受けてパ・リーグは1月30日に両チームから事情聴取を行い、その結果パ・リーグ会長の小池唯夫は「両球団とも正当な手続きを踏んでおり、二重契約である可能性が濃厚」との判断を示し、両球団で持ち帰り再検討するように指示した。 |
| この判断に対しオリックス側は契約の有効性が認められたことから「前進した」と評価したものの、「こんなことがまかり通れば『外国人天国』になる」と懸念を示した。 |
| その後両球団での解決の進展が全く見出せなかったため、2月4日に小池はソフトバンクの支配下選手登録申請を認める見解を示し、両球団に勧告した。 |
| 球界を混乱させたという点を重視し、申請の受理は6月23日以降として実質的に開幕からの3か月間の出場停止措置を取った(ただしオリックス側の合意があればそれ以前の受理も可能とした)。 |
| この勧告に対しオリックス側は「何の解決にもならない」と不満を示し、ソフトバンク側も受け入れる姿勢を見せたものの二重契約との印象を植え付けたとしてパ・リーグを批判した。 |
| 2月5日にはパウエルが来日して記者会見を行い、二重契約はしておらずソフトバンクとの契約は正当だと主張。 |
| オリックスがフィジカルチェック後にチーム側に有利になるよう契約内容の変更を求めてきたとし、「不誠実で道義に反していた」と契約を破棄した理由を説明した。 |
| 結局この勧告でも解決には至らず、2月13日オリックスが「球界に悪しき前例を残さないため」としてコミッショナー代行・根来泰周あての提訴状を提出した。 |
| この提訴を受けて根来は2月21日に小池が提示した勧告を提示を一旦白紙に戻すことを表明し、改めて判断を示すこととなった。 |
| 同日にはパウエルの代理人が会見し、オリックス側がパウエルにファクスした文書は統一契約書でサインが必要な1、4ページのみで2、3ページは提示すらされておらず「手続きには法的に非常に問題がある」と主張した。 |
| 根来は2月27日、両球団から提出された支配下選手登録申請をいずれも不承認とした上で、改めてパウエルと合意を取り付けた球団の申請を認めるようにパ・リーグ会長の小池に要請。 |
| 小池もこれに従うこととなり、パウエルのソフトバンク入団が事実上確定した。 |
| 根来は今回の事件を契機として外国人との契約についての対策を考慮するよう実行委員会に提案することを明らかにした。 |
| ソフトバンクは実質的に主張を認めてもらえたとして勝訴と受け止め、提訴が結果的にあだとなったオリックスは中村が「予想外、最悪の結末だ」と語ったものの、コミッショナー代行の判断ということもあり受け入れる姿勢を示した。 |
| パ・リーグは前回の反省から支配下選手登録には統一契約書のほかにパウエル本人の意思確認文書が必要とし、ソフトバンクが改めて申請を提出。 |
| 3月4日支配下選手として公示され、正式に福岡ソフトバンクの所属となる。 |
| 前述の通りパウエルは戦力とならず、因縁の相手となったオリックスは戦前の予想を超える2位に躍進し、ソフトバンクは12年ぶりの最下位に沈むという皮肉な結果に終わった。 |