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プロフィール
- ヒラリー・パトナムとは
- 経歴
- 多重実現可能性
- 機械状態機能主義
- 機能主義を捨てる
- 意味論的外在主義
- 数学の哲学
- 数学とコンピュータ・サイエンス
- メタ哲学と存在論
- ネオ・プラグマティズムとウィトゲンシュタイン
- 批判
- 関連サイト
ヒラリー・ホワイトホール・パトナム(HilaryWhitehallPutnam、1926年7月31日-)は、アメリカ合衆国の哲学者。1960年代以来、心の哲学、言語哲学、および科学哲学において、西洋哲学の中心人物であった。彼は他の者に対して行うのと同じくらい自分自身の哲学的立場についても、その欠陥が曝露されるまで厳格な分析による吟味を加えることで知られている。その結果、パトナムは頻繁に自分の立場を変更するという評判を得るに至った。心の哲学において、パトナムは、彼の多重実現可能性という仮説に基づいて、精神と身体の状態のタイプ同一説に対する反論を行ったことや、機能主義という心身問題に関する影響力のある理論でも知られている。言 ...
経歴
| パトナムは、1926年、イリノイ州シカゴに生まれた。 |
| 彼の父、サミュエル・パトナムは、アメリカ共産党の機関紙であるデイリー・ワーカー紙に寄稿していたジャーナリストであり翻訳家だった。 |
| 母リーバはユダヤ人であったが、父が共産主義に傾倒した結果、パトナム自身は非宗教的に育てられた。 |
| パトナムの一家は1934年までフランスで暮らし、その後アメリカ合衆国に戻り、フィラデルフィアに居をかまえた。 |
| パトナムは、ペンシルベニア大学で数学と哲学を学び、修士号を得、Philomatheanソサエティのメンバーとなった。 |
| これは合衆国で最も古い文学協会である。 |
| パトナムはハーバード大学大学院で哲学の研究をつづけ、その後カリフォルニア大学ロサンゼルス校に移り、ここで1951年、博士論文『有限数列の応用における確率概念の意味』によって博士号を得た。 |
| パトナムの指導にあたったハンス・ライヘンバッハ(彼の博士論文の主査)やルドルフ・カルナップは、当時の哲学の支配的学派であった論理実証主義の重鎮たちだった。 |
| パトナムの最も長く続いた立場のひとつは、自己矛盾を来した論理実証主義に対する拒絶というものだった。 |
| ノースウェスタン大学、プリンストン大学、マサチューセッツ工科大学でそれぞれ短期間教えた後、1965年にパトナムはハーバード大学に移った。 |
| この時、同じくマサチューセッツ工科大学で哲学を教えていた彼の妻ルース・アンナ・パトナムもハーバードに移っている。 |
| ヒラリーとルース・アンナは1962年に結婚した。 |
| ルース・アンナは1927年、ドイツ南部の都市ミュンヘンに生まれた。 |
| 彼女の両親は反ナチスの活動家であり、パトナム同様無神論的教育を受けた。 |
| けれどもパトナム夫妻は幼少期に経験した反ユダヤ主義に反発を覚え、子供たちのために伝統的なユダヤ人家庭を築こうと決心した。 |
| 夫妻はユダヤ教の儀式を受けたことがなかったので、セーデルのため他のユダヤ人家庭を招待した時にも、ルース・アンナによれば「どうすればよいのかわからなかった」という。 |
| そこで夫妻はユダヤ教の儀式やヘブライ語の勉強を開始し、しだいにユダヤ人意識を深めていった。 |
| この結果1994年、通常のユダヤ教徒が男性なら13歳で受けるバル・ミツワー(成人式)の儀式を、70歳近いヒラリー・パトナムがはじめて受けることになった。 |
| さらに4年後、彼の妻もバト・ミツワー(女性の成人式)の儀式を受けた。 |
| パトナムはハーバード大学の人気教師であった。 |
| また両親の影響を受けて政治活動にも積極的で、1960年代から1970年代前半まで公民権運動擁護とアメリカのベトナム派兵への反対のために積極的に発言した。 |
| 1963年にはマサチューセッツ工科大学に初めて教授陣と学生が共同で運営する反戦のための委員会を組織した。 |
| デイヴィッド・ハルバースタムのベトナム戦争報道に憤激したこともある。 |
| パトナムは、アメリカ軍が枯葉剤を散布したことがベトコンから南ベトナムの農民を「守る」ことになったとハルバースタムが主張していると思ったのである。 |
| また、1965年のハーバード大学への移籍以降も、キャンパス内で抗議運動を呼びかけたり、マルクス主義についてのセミナーを開いたりするなどの活動を行った。 |
| ハーバード大学の学生が組織した「民主主義社会実現をめざす学生たち」の運動の顧問を務め、また1968年には進歩労働党(PLP)の党員になった。 |
| 1968年以降はPLPの活動を中心に政治と関わることになる。 |
| ハーバード大学哲学部はこうした活動を問題視し1971年にパトナムを譴責することを試みたが、他の2つの学部から譴責に十分な理由がないことを批判された。 |
| しかし、1972年以降はパトナムはPLPとの絆を断つことになった。 |
| 1997年にはボストンのArlingtonStreetChurchで開催された元徴兵忌避活動家たちの集会の席上で、みずからのPLPへの参加が誤りだったと述べた。 |
| 彼によれば、当初彼は、PLPが協力関係の形成を約束しており、軍隊の内部から組織化を始めようとしていたことに感銘を受けたのだという。 |
| 1976年に彼はアメリカ哲学会の会長に選出された。 |
| さらに翌年には、論理学の哲学や数学への貢献を認められ、WalterBeverlyPearsonProfessorofMathematicalLogicに選出された。 |
| パトナムの急進的政治活動の時代は終わったが、彼は依然として、学者が社会に対して特に大きな社会的かつ倫理的な責任を負っているという信念を抱いている。 |
| 「どうすれば倫理的問題に決着をつけないか」"HowNottoSolveEthicalProblems"(1983年)や「民主主義のための教育」"EducationforDemocracy"(1993年)といった彼の論文を見れば、彼の政治的見解が依然として革新的立場に立っていたことがわかる。 |
| アカデミズムの一員としてパトナムはアメリカ芸術科学アカデミーに属しており、また英国アカデミーの通信会員にもなっている。 |
| 2000年6月をもって教職を退任し、ハーバード大学名誉教授となった。 |
| 最近ではユダヤ教に関心をもち、数冊の書物を出版している。 |
| また妻との共著によって、19世紀後半のアメリカにおけるプラグマティズム運動についても数冊の書物を著している。 |
多重実現可能性
| File:Reduktionismus.png|thumb|right|多重実現可能性の図解。 |
| ''M''は心的なものを、''P''は物理的なものを表す。 |
| 一つ以上の''P''が同じ一つの''M''の具体例になりうる。 |
| しかし、逆は真ではない。 |
| 状態間の因果関係は、(''M1''から''M2''に向かっているなどの)矢で表現されている。 |
| パトナムの仕事は多岐にわたるが、中でも心の哲学についてのものはよく知られている。 |
| 彼のこの分野へのもっとも有名な独創的貢献は、多重実現可能性仮説の説明のために1960年代後半に発表された数点の基本的論文で行われている。 |
| これらの論文でパトナムは、かのタイプ同一説の主張に反対して、「痛みはC繊維の発熱に等しい」というのは必ずしも真ではない、と論じた。 |
| パトナムの論文に従えば、痛みは、様々な生物の神経系の全く異なる物理的状態に対応()しうるが、そのいずれの生物であってもなお「痛い」という同じ心的状態を経験する。 |
| パトナムはこの命題を例証するために動物界に例を求めている。 |
| いったい、様々な種類の動物の脳構造が、痛みやその他の心的状態を同じやり方で了解するなどということがありうるだろうか、というのが彼の問いである。 |
| (同じタイプの心的状態は同じタイプの物理的状態によって実現されなくてはならないとして)もしそれら様々な種類の動物が同じ脳構造をもっていないならば、それらの動物は同じタイプの心的状態や性質を抱くことができない(しかし、異なる種の動物は同じ脳構造を持っていないにもかかわらず、痛みやその他の精神状態を共有しているように思われる)。 |
| この難問への答えは、痛みやその他の心的状態は(同じタイプの心的状態であっても)異なる種においては異なるタイプの物理的状態によって了解されている、というものでなくてはならない。 |
| パトナムはここで議論を一歩先へと進め、異星人、人工知能ロボット及び珪素生命体についても同様のことを言えるだろうか、と問うている。 |
| パトナムの主張によれば、これらの仮定の存在者が人間と同じ神経化学作用を持っていないというだけでは、彼らが痛みを感じることができないと考える理由にはならない。 |
| パトナムによれば、タイプ同一説が行っていた「野心的」かつ「ほとんどありそうもない」推測は、多重実現可能性の一例によって反駁されうるのであるPutnam,H.(1975)''Mind,LanguageandReality.PhilosophicalPapers,vol.2''.Cambridge:CambridgeUniversityPress,1975.ISBN88-459-0257-9。 |
| この議論は、ときどき「蓋然性論法」()として参照される。 |
| さらにパトナムは、彼が「機能的同型性」()と呼ぶものに基づいて補足的な議論を展開している。 |
| 機能的同型性とは、「一方のシステムの諸状態と他方のシステムの諸状態の間に機能的な関連を維持するような対応があるとき、二つのシステムは機能的に同型である」とするものである。 |
| コンピュータの場合、一方の機械における状態間のシーケンスのつながりが他方の機械における状態間のシーケンスのつながりを正確に反映しているとき、またそのときのみ、二つのマシンは機能的に同型である。 |
| それゆえに、シリコン・チップでつくられたコンピュータと歯車でつくられたコンピュータは、機能的に同型でありうるが、構成上は異なる。 |
| ジェリー・フォーダー、パトナム及び他の人々の指摘によれば、多重実現可能性は、タイプ同一説への強力な反論であるばかりか、心的現象のような高次の現象についてどのような低次の説明(たとえばニューロンやシナプスの活動というミクロ・レベルの説明など)を行っても、抽象性や一般性の点で満足のいく説明にならないことを示しているFodor,J.(1974)"SpecialSciences"in''Synthese'',28,pp.97-115.Fodor,J.(1980)"TheMind-BodyProblem",''ScientificAmerican'',244,pp.124-132.。 |
| 機能主義は、心的性質を、原因—結果の用語でのみ特徴付けられる機能的性質とみなすものであり、ミクロ物理現象のレベルから〔心的性質を高次のレベルに〕抽象化したものであり、それゆえに心と身体の間の関係についての説明として、より優れたものであるように思われる。 |
機械状態機能主義
| これらが機械に入力されるとき、以下の五種類の出力がありうる。 |
| ちょうど「状態1」が''B''が入力されたときこれこれのことが起こるという状態であるにすぎないのと同じように、痛いと感じるということも、人に「痛いっ」と叫ばせ、取り乱させ、痛みの原因は何かと考えさせ……等々させるようになる状態である。 |
機能主義を捨てる
| パトナムは機能主義を捨てたが、機能主義はその後も栄え続け、デビッド・マー、ダニエル・デネット、ジェリー・フォーダー、デイヴィド・ルイスといった様々な思想家によって多種多様な変種が提起されるに至ったMarhaba,Sadi.(2004)''Funzionalismo''in"EnciclopediaGarzantinadellaFilosofia"(ed.)GianniVatimo.Milan:GarzantiEditori.ISBN88-11-50515-1。 |
| 機能主義は現代の認知科学の基礎づけに役立ち、今日の哲学において支配的な心の理論になっている。 |
意味論的外在主義
| 近年、心の哲学と言語哲学を研究する哲学者ドナルド・デイヴィッドソンは、パトナムとは多くの点で意見が異なるにもかかわらず、意味論的外在論が、哲学者の世界認識の方法における「反主観主義革命」の一翼を担うものだと書いている。 |
| パトナムやタイラー・バージを始めとする哲学者たちのおかげで、哲学は今や客観的領域を当然のものとしており、主観的経験の疑わしい「真理」に疑問を呈することができるようになったのであるDavidson,D.(2001)''Subjective,Intersubjective,Objective''.Oxford:OxfordUniversityPress.ISBN88-7078-832-6。 |
数学の哲学
| 従って、集合や非ユークリッド幾何学が実在しないとしつつクォークその他の検知できない物理学的実体の実在を認めようとする唯名論的見解は難しい立場に置かれることになる。 |
| Thejustificationforthefirstpremiseisthemostcontroversial.BothPutnamandQuineinvokenaturalismtojustifytheexclusionofallnon-scientificentities,andhencetodefendthe"only"partof"allandonly".Theassertionthat"all"entitiespostulatedinscientifictheories,includingnumbers,shouldbeacceptedasrealisjustifiedbyconfirmationholism.Sincetheoriesarenotconfirmedinapiecemealfashion,butasawhole,thereisnojustificationforexcludinganyoftheentitiesreferredtoinwell-confirmedtheories.Thisputsthenominalistwhowishestoexcludetheexistenceofsetsandnon-Euclideangeometry,buttoincludetheexistenceofquarksandotherundetectableentitiesofphysics,forexample,inadifficultposition.。 |
| Putnamholdstheviewthatmathematics,likephysicsandotherempiricalsciences,usesbothstrictlogicalproofsand"quasi-empirical"methods.Forexample,Fermat'slasttheoremstatesthatfornointegern>2aretherepositiveintegervaluesof''x'',''y'',and''z''suchthatx^n+y^n=z^n.Beforethiswasprovenforalln>2in1995byAndrewWiles,ithadbeenprovenformanyvaluesof''n''.Theseproofsinspiredfurtherresearchinthearea,andformedaquasi-empiricalconsensusforthetheorem.Eventhoughsuchknowledgeismoreconjecturalthanastrictlyproventheorem,itwasstillusedindevelopingothermathematicalideas.。 |
数学とコンピュータ・サイエンス
| ユーリ・マチャセビッチは1970年に、ディオファントス方程式の任意の系(整数を係数とする多項式)が整数において解をもつかを決定する一般的なアルゴリズムがあるのかどうかという問題に答えるため、フィボナッチ数を用いた定理を案出した。 |
| Putnamhascontributedtoscientificfieldsnotdirectlyrelatedtohisworkinphilosophy.Asamathematician,PutnamcontributedtotheresolutionofHilbert'stenthprobleminmathematics.YuriMatiyasevichhadformulatedatheoreminvolvingtheuseofFibonaccinumbersin1970,whichwasdesignedtoanswerthequestionofwhetherthereisageneralalgorithmthatcandecidewhetheragivensystemofDiophantineequations(polynomialswithintegercoefficients)hasasolutionamongtheintegers.Putnam,workingwithMartinDavisandJuliaRobinson,demonstratedthatMatiyasevich'stheoremwassufficienttoprovethatnosuchgeneralalgorithmcanexist.ItwasthereforeshownthatDavidHilbert'sfamoustenthproblemhasnosolution.。 |
| Incomputerscience,PutnamisknownfortheDavis-PutnamalgorithmfortheBooleansatisfiabilityproblem(SAT),developedwithMartinDavisin1960.ThealgorithmfindsifthereisasetoftrueorfalsevaluesthatsatisfiesagivenBooleanexpressionsothattheentireexpressionbecomestrue.In1962,theyfurtherrefinedthealgorithmwiththehelpofGeorgeLogemannandDonaldW.Loveland.ItbecameknownastheDPLLalgorithm.ThisalgorithmisefficientandstillformsthebasisofmostcompleteSATsolvers.。 |
メタ哲学と存在論
| NelsonGoodmanhadformulatedasimilarnotionin''Fact,FictionandForecast''in1956.Inthatwork,Goodmanwentasfarastosuggestthatthereis"nooneworld,butmanyworlds,eachcreatedbythehumanmind."Goodman,N.''Fact,Fiction,andForecast''.UniversityofLondon:AthlonePress,1954.Cambridge,MA:HarvardUP,1955.2nded.Indianapolis:Bobbs-Merrill,1965.3rd.ed.Indianapolis:Bobbs-Merrill,1973.4thed.Cambridge,MA:HarvardUP,1983Putnamrejectedthisformofsocialconstructivism,butretainedtheideathattherecanbemanycorrectdescriptionsofreality.Nooneofthesedescriptionscanbescientificallyproventobethe"one,true"descriptionoftheworld.Thisdoesnotimplyrelativism,forPutnam,becausenot''all''descriptionsareequallycorrectandtheonesthatarecorrectarenotdeterminedsubjectively. |
ネオ・プラグマティズムとウィトゲンシュタイン
| Attheendofthe1980s,Putnambecameincreasinglydisillusionedwithwhatheperceivedasthe"scientism"andrejectionofhistorythatcharacterizemodernanalyticphilosophy.Herejectedinternalrealismbecauseitassumeda"cognitiveinterface"modeloftherelationbetweenthemindandtheworld.UndertheincreasinginfluenceofJamesandthepragmatists,headoptedadirectrealistviewofthisrelation.UndertheinfluenceofLudwigWittgenstein,headoptedapluralistviewofphilosophyitselfandcametoviewmostphilosophicalproblemsasnothingmorethanconceptualorlinguisticconfusionscreatedbyphilosophersbyusingordinarylanguageoutofitsoriginalcontext.。 |
| Putnam'smostrecentworkshavefocusedonbringingphilosophyoutofitsself-imposedshellandbacktotheworldofordinarypeopleandordinarysocialproblems.Reed,Edward(1997). |
批判
| 多重実現可能性理論に対する他の批判者としては、ジェグォン・キムKim,Jaegwon.''MultipleRealizabilityandtheMetaphysicsofReduction''on''PhilosophyandPhenomenologicalResearch''.52:1–26.、デイヴィド・ルイスLewis,David(1969).“ReviewofArt,Mind,andReligion.”JournalofPhilosophy,66:23–35.、ロバート・リチャードソンRichardson,Robert(1979).“FunctionalismandReductionism.”PhilosophyofScience,46:533–558.、パトリシア・チャーチランドChurchland,Patricia(1986).Neurophilosophy.Cambridge,MA:MITPress.などがいる。 |
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1926年
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イリノイ州シカゴに生まれたヒラリー・ホワイ... |
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博士論文『有限数列の応用における確率概念の... |
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