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日本動力協会会長・桝本晃章 変化が見える国際的気候変動問題議論 2009/7/31 印刷する ブックマーク: ■米オバマ政権が採る方向性 国際的気候変動問題への取り組みに変化が見られる。米国が「主要経済国フォーラム(MEF)」などの場で主導を始めたのだ。“もっと意欲的に”という言葉の下に、国連の場でトップダウン型の温暖化ガス(GHG)排出削減目標値設定競争のような色合いを呈していたこれまでの議論とは対照的に、ボトムアップでGHG排出削減の実効追求型の動きが具体的に進められようとしている。至近の代表事例を概括してみたい。 ◆米中対話と「研究センター」設立 6月1日から12日まで、国連気候変動条約締約会議の作業部会がボンで開かれた。ちょうどこのタイミングで、米国の気候変動問題特使はエネルギー関係者も伴って北京を訪れた。その前触れは、2月のクリントン国務長官訪中 ... もっと見る
日本動力協会会長・桝本晃章 変化が見える国際的気候変動問題議論 2009/7/31 印刷する ブックマーク: ■米オバマ政権が採る方向性 国際的気候変動問題への取り組みに変化が見られる。米国が「主要経済国フォーラム(MEF)」などの場で主導を始めたのだ。“もっと意欲的に”という言葉の下に、国連の場でトップダウン型の温暖化ガス(GHG)排出削減目標値設定競争のような色合いを呈していたこれまでの議論とは対照的に、ボトムアップでGHG排出削減の実効追求型の動きが具体的に進められようとしている。至近の代表事例を概括してみたい。 ◆米中対話と「研究センター」設立 6月1日から12日まで、国連気候変動条約締約会議の作業部会がボンで開かれた。ちょうどこのタイミングで、米国の気候変動問題特使はエネルギー関係者も伴って北京を訪れた。その前触れは、2月のクリントン国務長官訪中であった。スターン米国特使の言葉によれば、両国の責任者同士は相当に突っ込んだ話し合いをし、相互に理解が深まったという。その後、ラクイラ・サミットとMEFが開かれたが、これをはさむようにして、チュー米エネルギー省長官が北京を訪問した。そして7月15日、「米中クリーン・エネルギー研究センター」の設立を公表した。両国は1500万ドル(約14億円)を拠出。研究対象については、CCS(二酸化炭素回収・貯留)技術も含め今後数カ月をかけて両国関係者間で詰め、年末までには業務を始めるという。 ◆グローバル・パートナーシップ開始 また、イタリアでのMEFでは、低炭素技術の発展開発を促進するため、新たに“グローバル・パートナーシップ”を開始することが決められた。このパートナーシップは、既に実績のあるアジア太平洋パートナーシップの活動を拡大したもののようだ。主要国がいわば責任国となって、今年11月15日までに、次に進むべき推奨案を提出する。具体的課題とそれぞれの担当国を数例見ると次の通りだ。 エネルギー効率:米国、太陽エネルギー:ドイツ、CCS:豪州ならびに英国、改良型車両:カナダ、バイオ燃料:ブラジル・イタリア、そして低炭素排出・高効率石炭火力発電:日本。このうち、CCSについては手回し良く、10日MEF終了後、豪州ケビン・ラッド首相自ら既に昨年9月に発足させた「Global Carbon Capture and Storage Institute」の国際的活動の活性化宣言をしている。 これらのいくつかの出来事を見ると、米国が重きを置く方向性は、2国間、あるいは地域における取り組みの具体的促進と極めてボトムアップ的な現実的削減策の実施だと思われる。 欧州(EU)は、EU−ETSを中心に高い温暖化ガス排出削減目標を掲げ、加盟各国に加えて、他国にも同様のやり方を迫りつつ、強力に進む。一方、オバマ・アメリカは、産業革命以降の排出増加寄与という歴史的責任を認め、排出削減実現をできるところから進めようとし始めた。 こうした情勢の下で、改めて日本はその行く道を選択しなくてはならない。その基本的方向性を日本の将来を考え、確認しておきたい。 第1に、国内的には将来の産業ビジョンを共有化しつつ、中小企業も含め産業界の持つ力を結集し、“エネルギー利用高効率化”と“低炭素化”技術のさらなる開発とその普及に総力を挙げる。重要なことは、産学官挙げて、産業界のこうした開発力を活性化し続けることである。必ずや、日本の国際的貢献に役立つ。第2に、国際的には米中を代表とする大排出国が参画できる国際枠組み作りを目指す。間違っても、京都の単純延長のようなことはあってはならない。「気候変動問題への取り組みなくして産業界の将来はない」し、「産業界の発展なくして気候変動問題への対応はありえない」のである。 ◇ 【プロフィル】桝本晃章 ますもと・てるあき 早大政経卒、1962年東京電力入社。常務、副社長、電気事業連合会副会長などを務め、2008年5月から日本動力協会会長。東京電力顧問。日本経団連環境安全委員会アドバイザー兼務。70歳。神奈川県出身。 「論風」のニュース一覧 財務副大臣・峰崎直樹 ノーベル経済学賞受賞者について (2009/12/9) 上智大学法学部教授・大和田滝惠 温室効果ガス25%削減の公言 (2009/12/4) コマツ相談役・萩原敏孝 外国人留学生の増員 (2009/12/3) 伊藤忠商事会長・丹羽宇一郎 地方分権と新政権への期待 (2009/12/2) 鳥取大学名誉教授・中村宗和 CO2削減による産業構造変化 (2009/11/27) 機械産業記念事業財団会長・福川伸次 東アジア共同体構想 (2009/11/26) ロハス・ビジネス・アライアンス共同代表 大和田順子 (2009/11/25) 西日本高速道路会長CEO・石田孝 「いいことやろう」の新たな展開 (2009/11/20) 慶応義塾大学教授・浜中裕徳 ポスト京都の成否 (2009/11/19) 中小企業投資育成社長・荒井寿光 地球規模の知財問題 (2009/11/18) もっと見る 戻る
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