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鈴木眞弓著「ベルリン=旅物語」(東京書籍)を読みました。2000年に上梓された本で、毎年どんどん変わっていくベルリンという街を鑑みれば、かなり情報が古いんじゃないかと思って、今までこの本を読むのを躊躇していましたが杞憂でした。 非常に楽しめました。 観光ガイドの本であり、ベルリンに長期滞在し語学学校に通いながら感じたことや、東西ベルリンの人の様子、日常の風景などが綴られています。エリア別に紹介されており歴史を踏まえて書かれてあったりと読み応えもあります。 私がベルリンに初めて行ったのは2004年で、その時に肌で感じたベルリンの空気を思い出す本でした。行くたびにそんな新鮮な気持ちを忘れてしまうのは、ちょっと慣れてきたせいか、ベルリンが変わったせいか。言葉にできないファーストベルリンの空気を思い出させてくれます。 また、本の中では共感することがたくさんあって思い出し笑いをしつ ... もっと見る
鈴木眞弓著「ベルリン=旅物語」(東京書籍)を読みました。2000年に上梓された本で、毎年どんどん変わっていくベルリンという街を鑑みれば、かなり情報が古いんじゃないかと思って、今までこの本を読むのを躊躇していましたが杞憂でした。 非常に楽しめました。 観光ガイドの本であり、ベルリンに長期滞在し語学学校に通いながら感じたことや、東西ベルリンの人の様子、日常の風景などが綴られています。エリア別に紹介されており歴史を踏まえて書かれてあったりと読み応えもあります。 私がベルリンに初めて行ったのは2004年で、その時に肌で感じたベルリンの空気を思い出す本でした。行くたびにそんな新鮮な気持ちを忘れてしまうのは、ちょっと慣れてきたせいか、ベルリンが変わったせいか。言葉にできないファーストベルリンの空気を思い出させてくれます。 また、本の中では共感することがたくさんあって思い出し笑いをしつつ、心の中で相槌を打つことしきり。 例えば・・・ ベルリンの地下鉄のホームや電車には終着駅しか書かれていないから、行きたい駅の終着駅の名前を知らない場合、ホームに飛び込んできて「ええい、ままよ!」と飛び乗って間違えることがあるとか(これはベルリンに行くといつも痛感します)。 カレーソーセージを頼む時、発音が「カリーブルスト(ブルスト=胸)」ではなく「カリーヴルスト」と言わなくてはならないとか(私も「え?」と聞き返され、発音を訂正されたことがある!)。 やたら道を聞かれるので、「私もいよいよベルリンっ子らしく見えるようになったのかしら。ふっ」と思ったけど冷静に考えれば、それだけベルリンには外国人が多いことなんだと思ったとか(私もよく聞かれます。地図を手に持っているのに観光客だとは思わないのかな?と疑問に思いますが)。 ベルリン好きには面白い本でした。古いのに古くない本です。 さて、もう一冊ベルリン絡みの本を読みました。テア・ドルン他著「ベルリン・ノワール」(扶桑社)です。5人のドイツの作家たちがSバーンを舞台に”犯罪都市ベルリン”という、おとろしいテーマに沿ってドラマを書いています。 あとがきにまで”ベルリンほど<犯罪的>な都市はほかにはそうあるまい”という文章で始まっていて、かなり違和感を覚えるのですが、歴史的観点からベルリンという都市が加害者であり被害者であったことを踏まえて言っているようで、ちょっと安心しました。 でも、そんな歴史的なことがらではなく5人の作家たちは、いわゆる日常で起こりえる犯罪を書いています。 犯罪をめぐる人間ドラマというよりも、少々詩的な感じを受け入り込めないところもありますが。 一番、犯罪的な物語はフランク・ゴイケの「ガードマンと娘」(Der Wachmann und das Maedchen)、舞台はツォー駅です。 DDRの軍隊にいた主人公が壁の崩壊後にガードマンになりツォー駅で勤務している中で、駅で寝起きする少女に気持ちを弄ばれるという話です。 倒錯した物語で物悲しくどこか心ひかれると思った物語はハイナー・ラウの「廃墟のヘレン」(Helen in Ruinen)です。 成功し金持ちになった男が学生時代に好きだった女性が熱をあげていた哲学科の博士が落ちぶれたところを偶然サヴィニー駅で見かけたところから始まる物語です。 どの物語も色調がグレイでダークな話ですが、短い物語の中にぎゅっとベルリンの翻弄された歴史を思わせるような、人間の翻弄される人生の暗い部分が描かれています。 決して気持ちが明るくなる本ではありません。でも、心の暗い部分が共鳴するような物語だと思いました。 ところでこの本に使われている写真は全て橋口譲二さんの写真です。彼のベルリンの写真は本当にいいですよ。混沌とした感じがよく出ています。 戻る
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